以前エミレーツ航空とカタール航空の比較で、ビジネスクラスを選ぶならカタール航空の方が遥かにレベルが高い事を取り上げました。
今回は、エミレーツ航空とエティハド航空をビジネスクラスの分野で比較してみます。
<長距離用機材の座席:エティハド航空優位>
・エティハド航空は安定の全席通路アクセスのフルフラットプライベートシート;エミレーツ航空は機材によっては時代遅れの2−3−2配列シートでしかも斜めフラット
もし長距離距離の移動を確実に楽であると保証する場合は、エティハド航空の方が優位です。
エティハド航空の同タイプ機材にはボーイング777、787、エアバスA380、A350が活躍していますが、これらは全席通路アクセスができるプライベート感あるフルフラット座席を提供しています。
上記の中からA350を除く機材はANAのスタッガード式とThe Roomの混ざった様なシートで、前後で向かい合う様に交互になっています。
この方が、全席前に向くよりも足元が広くなりやすい傾向です。
ボーイング787の最新バージョンとエアバスA350は、下記の様な各座席ドア付きのリバース・ヘリンボーン式。
現在(2024年11月現在)は成田便はA350で運行されていますが、もうすぐ787に変わる予定です。
関西便は従来の787(写真上)のシートが活躍しています。
対するエミレーツ航空は、日本に就航している全機材はスタッガード式のフルフラットシートを提供していますが、その他の路線のボーイング777の大部分は時代遅れの斜めフルフラットになる2−3−2配列シートが現役です。
この2−3−2配列のシートは新型のスタッガード式に徐々に変わってきていますが、完全に改装が終わるまであと数年間はかかるでしょう。
<機内食・飲み物:エティハド航空優位>
・エティハド航空はいつでも好きな時に注文できるダイン・オン・ディマンド方式でプレゼン方法も凝っている;エミレーツは全体的に質が高いがメインの食事は決まった時間に提供される
エミレーツ航空の機内食は、多くの航空会社と同様にビジネスクラスでは決まった時間にのみ提供されます。
日系航空会社の様に軽食だけ好きな時間に選べるというスタイルは各社で浸透しつつありますが、メインの食事で提供されるのは稀。
エティハド航空では、どの食事も乗客が好きな時間にメニューから好きなものが好きなだけ選べるアラカルト式のダイン・オン・ディマンドです。
例えば、ラウンジで腹一杯になったから、離陸してから3時間後ぐらいに前菜とメインとデザートのコースを頂きたい、というわがままが叶います。
エティハド航空のメニューの種類も豊富です。
ただし、アラカルト式だけにフライト後半は品切れが多い、という情報もよく耳にするので、エティハド航空に乗る場合は出発時に、クルーに何時間後に何を食べるかを先に決めて伝えておきましょう。
エティハド航空のビジネスクラス機内食は質も高く、少し期待しても悪くないかもしれません。
エミレーツ航空の機内食も質は高いですが、食事時はちょっと工場の組み立てライン並みの感覚があります。
実はこれはメリットがあって、一斉に食事を同じタイミングで提供した方がクルーのサービス効率が良いので全体の食事時間が短縮します。
エティハド航空の様なアラカルト式の場合、個々に対応するので結構食事が終えるまで時間がかかってしまう可能性が高いです。
飲み物の提供方法もエティハド航空の方が丁寧です。
例えば、ホットラテを注文すると、まるでお洒落カフェで提供される様な本格的なもので、しかも付け合わせはゴディバのチョコレート。
エミレーツ航空でホットドリンク(ミントティー)を注文すると、以下の様なマグカップにショートブレッドが提供されました。
プレゼンはエティハド航空の方が凝っていますね。
・成田・関西便発着のエミレーツ航空機内食は要注意!
日本便ビジネスクラスの機内食ですが、エミレーツ航空の成田・関西便は往復とも深夜出発になるため、朝食がメインの食事となるので簡略化され、所謂フルコースの食事が提供されません。
エティハド航空は夕方(日本発)か夜の比較的早い時間(アブダビ発)の出発となるので、しっかりした食事が楽しめます。
<ワクワク感:エミレーツ航空優位(A380限定)>
・エミレーツ航空A380に限定すると社交スペースに本格的なバーがあり、クルーが明るい;エティハド航空はエレガントな雰囲気
エミレーツ航空は乗って楽しい航空会社🎵
クルーは全体的にコミュ力が高く、ちょっとカジュアル感がありながら良いサービスを提供します。
現在成田・関西路線に就航しているA380には、2階席の後部をバーにしてしまう大胆さは凄いです。
本来なら、このスペースに何十席というビジネスクラスの座席を埋める事ができる訳ですから。
社交的でない人でも、バーには様々なスナックが置いてありユニークなカクテルが注文できるので、結構チェックするだけでも楽しいはずです。
・エミレーツ航空のポロロイド記念撮影サービス!
A380機材に関わらず、エミレーツ航空では全クラスでもし記念撮影を希望するのであれば、クルーがポロロイドカメラを持ってきてくれ、写真を撮ってくれます。
一人で乗るよりも友人や家族等複数で乗られる場合にはクルーから写真如何ですか?と聞かれるかもしれません。
専用のアルバムも用意してくれるので思い出になりますよ〜
この様にエミレーツ航空では「楽しい」を体験しやすいです。
エティハド航空に関してはもっとエレガントです。
一流ブランドにこだわりがあり、食器や寝具(枕と毛布を含む)はアルマーニ・カーザ製に統一。
エミレーツ航空は「高級感」のイメージがありますが、実際は全くそんな事がありません(良い意味で、笑)。
むしろそれはエティハド航空の方でしょう。
<ベッド状態の快適度:エミレーツ航空優位>
・エミレーツ航空は比較的分厚い敷マットレスを用意;エティハド航空の場合は超長距離路線のみ
エティハド航空はせっかくアルマーニ・カーザの寝具が用意されているのに、残念なのはアブダビ⇄北米や南米路線の様な超長距離路線を除き、敷マットレスが提供されません。
エミレーツ航空では飛行時間が6時間以内のドバイ⇄ヨーロッパ路線でも夜行便は提供されるので嬉しいです。
一方10時間以上にもなるエティハド航空の日本路線には、提供されません。
個人的には座席の上に直に寝るのはとても抵抗あり、長距離路線では敷マットレスが提供されるか否かで快適度がかなり変わるので、筆者にとっては結構これは重要ポイントに入ります。
<アメニティーキットの充実度:エミレーツ航空優位>
・エミレーツ航空のビジネスクラスアメニティーキットはブルガリ製コスメを始め色々ずっしり詰まっている!エティハド航空は一部保湿系はESPA製のブランドで提供されるが至って内容はシンプル
今まで乗ったビジネスクラスのアメニティーキットで最も充実しているのは断トツエミレーツ航空です。
男女でバッグや中身が異なり、基本コスメ類はブルガリ製。
男性用はブルガリ製の香水(!)や保湿クリームの他、シェービングフォーム(何気にこのサイズ嬉しい!)、デオドラント、ティッシュペーパーなど、豪華だけでなく実用的なアイテムも並んでいるので本当に便利です。
それとは別に、靴下とアイシェードが提供されます。
エティハド航空はフェイシャルミスト、モイスチャークリームを除いては、普通アイテムです。
上記の写真は大分前になるので、2024年現在では以下へ変わっています。
エティハド航空の新アメニティーキットはポーチはお洒落そうですが、コンテンツではエミレーツ航空には敵いません!
<短距離用機材の座席:エミレーツ航空優位>
・エミレーツ航空では保有機材全て長距離路線用の大型機材のため、短距離では結構快適;エティハド航空は単通路機材のシートはリクライニングシート
エティハド航空ではアブダビから周辺国へのフライト(最大5時間近く)は単一通路のA320/A321機が活躍します。
これらの機材のビジネスクラスは至って普通のリクライニングシートです。
エミレーツ航空は全機材が大型なので、短距離・長距離の区別が無く同じ座席です。
先程同社ボーイング777の多くは時代遅れの斜めフラットシートである事を記載しましたが、短距離路線だと逆に全然快適です。
<本家ラウンジ:対象外>
申し訳ありません、2023年にオープンしたばかりの新しいアブダビ国際空港の新ターミナル(ターミナルA)にあるエティハド航空のラウンジを体験していないため、比較する事ができません。
エミレーツ航空は本家ドバイ国際空港の第3ターミナルの全フロア(コンコースAの場合)もしくはフロア半分(コンコースB)を使用しているため、とにかく広く「ラウンジ」を域を飛び抜けています。
コンコースBのラウンジでは、モエシャンドン専用のコーナーがあったり、デトックスジュースや新鮮なサラダ類が並ぶ健康を意識したヘルスハブなど、個性豊かなエリアがあります。
ただし、広すぎてソファーや椅子が無造作に置かれている印象が少し雑に感じる事も否定できません。
まとめ
エミレーツ航空、エティハド航空はシンプルにどちらが良い!と断定ができなく、それぞれ強みと弱みがあります。エミレーツ航空は楽しい雰囲気の機内(特にバーがあるA380機)や快適な敷マットレスの提供、そしてアメニティーキットの充実さです。エティハド航空は、全長距離仕様機材が確実に全席通路アクセスのフルフラットシートである事と、サービス内容が繊細である事が強みですね。