概要
搭乗総合評価:94点
感想:提供内容は他社のファーストクラスに匹敵する。そしてサービスの効率の良さは満点。程良い量の機内食と乗客の睡眠重視への配慮が徹底している事を実感させてくれました。
<利用詳細>
フライト利用月:2025年5月
予定出発時刻:22:15発
実際の出発時刻:22:15発
予定到着時刻:翌05:15着
実際の到着時刻:翌04:42着
時刻表上のフライト時間:9時間00分
実際のフライト時間:8時間27分
座席番号:9K
機材:787-10
機材番号:B-17803
機材導入日:2019年8月15日
<チケット代>
アビアンカ航空のマイルを140%ボーナスセール時に購入して、特典航空券として発券しました。
ブリスベン→台北→東京の2区間合計で50,000マイルが必要。
既に口座に2,200マイルが残っていたので、20,000マイル分を購入して、ボーナスマイルが28,000マイル付与(合計48,000マイルの購入)。
20,000マイル分=USD 660(97,105円)。
諸税がUSD 118(17,140円)。
合計で、114,254円を支払いました。
搭乗記
・限られた9時間弱のフライトをいかに睡眠時間に充てられるか
結論を先に言うと、この便では夜行便のモデルとも言える効率の良さと快適さが顕著に表れました。
一つづつ触れていきます。


・初印象:スッキリ開放感あるキャビンでプライバシー感はあまり無い
エバー航空のボーイング787はスタッガード式座席をビジネスクラスに搭載。
ANAの同スタイルと似ていますが、座席横に収納スペースがあります。
シンプルで機能的なシートではありますが、横の列が同じ並びになっているのでもろに隣席が見えます。
ANAやJALでは真ん中の座席配列を若干窓側とずらしている為、ドアが付いていなくても結構プライバシーは保たれている仕組みです。
座席自体は、とても快適です。








奥行きは結構長いです。
足元の広さは、ANAのスタッガード式よりも余裕がある様に感じられます。
・ウェルカムドリンクは限定的;だがリクエストすれば応じてくれる
着席した瞬間に(ほんの数秒以内に!)、担当のクルー、セリーヌさんが挨拶をしてくれ、ウェルカムドリンクを、水かスパークリングワインを聞かれました。
え、オプションそれだけ?と思いながら、とりあえず炭酸水を頼みましたが、後ろの乗客がカクテルを注文していてそれを持ってきてくれていたので、メニューに記載の飲み物であればとりあえず聞いてみるのはありかもしれません。
因みに、エバー航空の長距離路線は超高級なシャンパンを提供する事で有名ではありますが、地上にいる間はボトルを開けるとその市場価格に応じて税金がかかってしまうため、安価なスパークリングワインを提供します(ANAやJALも同様の措置をファーストクラスで実施しています)。

めっちゃ細かい事だけど・・・水かスパークリングワインのウェルカムドリンクを聞かれた時、氷とレモンが必要か聞く方がスマートかもしれません・・・(次の台北→成田便では聞かれました)
でも、今乗っているのはビジネスクラスなので、そこまで求めません(ファーストクラスだと、結構気になります)。
・とてもスマートな座席
シート操作パネルは2種類あってシンプルで分かりやすいです。
位置的にもちょうど良い。
充電はUSB-AタイプとユニバーサルAC電源が設置されています。



エンタメ用の液晶画面型ハンドセットはゲームのコントローラーとして利用する以外は、画面はタッチスクリーンだしそこまで需要は無いかもしれません。
テレビ画面で直接操作するのが面倒臭い時には便利ですね。

最初、テーブルの出し方がよく分からなかったのですが、クルーがボタン式である事を教えてくれ、押すと横にスライドしてきました。
ボタンに見えないのでちょっと判断しにくいかもしれません。

座席脇には小物入れにちょうど良い収納ボックスがあります。
着席時、この中にノイズキャンセリングヘッドフォン、エイビアンのミネラルウォーターと、アメニティーポーチが入っていました。
・他社ファーストクラス並みの充実したアメニティー!
エバー航空ビジネスクラスで最も差別化ができているサービスと言えば、豪華なアメニティーポーチとその中身、そしてパジャマの提供。
ビジネスクラスでパジャマを提供する航空会社はとても少なく(特に日系の様に着陸前に回収されるのでは無く)、しかもそのパジャマもとてもハイクオリティ。

アメニティーポーチから見てきましょう。
まずはアルマーニのロゴの入った巾着。
中にしっかりケースがあるのに、巾着まで付いているのはずいぶん拘りを感じさせられます。
台北発のフライトではハードケース、台北着のフライトではソフトケースと往復で別スタイルが楽しめるのもポイントが高いです。

センスが良いポーチの内容は、厚手のアイマスク、歯ブラシセット、耳栓、鏡付きのヘアブラシ(初めて見た!)、そしてジュリーク製のリップバーム、フェイシャルミスト、そしてハンドクリーム。

このソフトケースのポーチはとても使いやすそうです。
そして極め付けは・・・

なんと、アルマーニ製のキーホルダー!
これで、自分の持っている安いカバンに装着するだけで高級感アップです(笑)。
因みに、キーホルダー製は台北着の場合のみで、台北発のフライトではコインケースが代わりに入っています。

パジャマは台湾人ファッションデザイナーのジェイソン・ウー氏が手がけたもの。
首や袖の縁の部分だけ色がかかっているシンプルなデザインは結構好きです。

これ、デザインだけでは無く、コットン製で着心地もとても良いのですよ!
正直、今までファーストクラスでもらったパジャマも含めて、一番気に入りました。
結構ファーストクラスでもひらひらなナイロン製を提供される事もありますからね。


スリッパも「Jason Wu」ブランドが入っていますが、至って普通です。
・テレビ画面はサクサク反応する;映画の本数は世界各地の作品が搭載
比較的新しい機材のため、タッチ式のテレビ画面は反応良くとても満足です。
日本の映画やドラマも何本か見かけました。
面白そうなアジアン映画でも観ようと思いましたが、正直しっくりくるものはありませんでした。
エンタメはやはりアジア系だとシンガポール航空やキャセイパシフィック航空が王者です。




・機内食はとても実践的:量、オプション、そして驚きのスピード
冒頭に記載した、効率の良さは、この機内食サービスに大いに現れています。
ブリスベン→台北便は、2回の温かい食事が提供され、どちらもメインは3種類から選択ができます。
ただし、どちらも決して豪華な内容では無く、程良い量でいかに早く提供できるか、に重点を置いています。
恐らくこれは長距離路線としては、短めなブリスベン線だからでしょう。
フライト時間が12時間を超える様なヨーロッパや北米路線では、1回目の食事は充実したフルコースの食事が提供されます。
まずはメニューを確認してみましょう。


まずは1回目の食事の洋食メニュー。
こちらは前菜、メイン、デザートの3コーススタイルで、メインは2種類から選択できます。
このフライトではラム肉のステーキか、魚の甘酢ソースがけでした。
因みに、エバー航空では出発3週間程前より事前にオンラインで様々なオプションを指定できます。
一般メニューには無い限定も含めて。
朝食は一般メニューから事前指定できます。
一般メニューの詳細も、e-Menuとして予約管理画面から確認が可能です。

緑色のロゴが入っているのはオンラインの限定メニューです。
この便では、ロブスターテルミドール、チキンのグリル、もしくは貝柱とエビのガーリックバター炒めが選択も可能でした。

そして、以下は中華オプション。

こちらは2コースで、麺類と小皿が2つ添えたトレイと、デザートが提供されます。
デザートは、洋食・中華どちらも共通でした。

朝食はお粥と付け合わせ類か、洋食2種類から。
どちらもフルーツとメインの2コースです。

・長距離路線限定のドリンク類:シャンパンやウィスキーは他社ファーストクラスレベル!
エバー航空の凄さはドリンク類にあります。
特に長距離路線の酒に関しては。


まず、シャンパン。
ブリスベンとヨーロッパ線では、ローランペリエ・グラン・シエクルが提供されます。
こちらは、ルフトハンザ航空のファーストクラスで定期的にサーブされるものであり、過去にブリティッシュエアウェイズやエールフランスのファーストクラスでも同様に提供されています。
市場価値は以下の通り。

北米線で提供されるパイパー・エドシック・レアも同レベルの価値です。
ビジネスクラスのシャンパンは本来一本市場価値数千円程度なので、ここでエバー航空は本気を出していますね。
その他ドリンクメニューを見てみましょう。


ここで凄いのは、ウィスキー類。
なんと、ジョニーウォーカーのブルーラベルが搭載されています!
これも基本他社ではファーストクラスレベル!
だって、成田空港の免税店でこんなにするんですよ↓

あとは、台湾のウィスキーメーカーである、カバラン。
こちらのシングルモルトは、日本線でも頂く事ができます。


アルコールが苦手な方でも、モクテルやソフトドリンクは各種用意されています。

・離陸後すぐの夜食;1時間以内に食事が完了!!!
先程触れましたが、ブリスベン線では決して機内食は豪華ではありません。
ただし、味付けはとても優しく、胃もたれしないためでもあるので、現実的ではあります。
出発が遅い事もあり、量も程々です。
離陸後21分:ドリンクとナッツが提供
22:17に離陸してから、その21分後の22:38にまず事前に注文しておいたドリンクが提供されました。

シャンパンと、カクテルのパッションアイランドです。
カクテルは、ラム、コアントロー、オレンジジュース、パイナップルジュースがミックスされたもの。
生のオレンジスライスが付いているのも良いですね。
このカクテルは、日本便には提供されません。
そして、自慢のファーストクラス級シャンパン。

離陸後29分:夜食が提供
中華オプションのビーフヌードルを事前指定しました。

台湾では有名な牛肉麺はコッテリしていますが、今回はかなりあっさりした汁で麺は中華麺というよりもうどんに近かった。
サイドディッシュとして、蒸し鶏のネギ生姜添えと、しめじとサヤエンドウの炒め物が提供されました。
麺類以外は、冷製です。

肉と野菜は別々に機内で盛り付けされた印象で、ただ単にまとめてレンジでチン!では無さそうです。
僕は肉の脂身が苦手ですが、牛肉はしっかり煮込まれた赤身肉だし、鶏肉の前菜も身がつまっている。


野菜は柔らかすぎず、程良い歯ごたえあり。
全てとても満足ですが、今まで食べた機内食の中では最も薄味ではありました・・・
深夜便であるので、あまり味は濃く無いほうが良いのは確かなのでポジティブに捉えて、健康的という事にしておきましょう!
因みに、量はそれほどありません。
離陸後44分:メインのトレイが片付けられる
いや、機内食の効率良すぎでしょ・・・僕も食べるのは結構早い方ですが、もう既にメインが終了しています。
離陸後47分:デザートが提供される
デザートは一種類。
フルーツと、チョコレートケーキのデュオです。
チョコレートケーキはとてもしっとり濃厚で結構楽しめましたが、もうちょい大きい方が嬉しかったかなぁ。
シャンパンのおかわりと、食後酒としてポートワインを頂きました。
グラスも専用のミニサイズで、凝っています。

離陸後55分:夜食終了!
凄い!離陸して1時間以内に、食事が完了しました。
今までの経験から、日系2社では大抵離陸してから1時間後にやっと食事が提供し始めるパターンしか経験していないので、このスピード感は本当に感心です。
そして、食事中は決して急かされている素振りが無かった事もプロ意識を実感させられます。
・化粧室のスキンケア類は日本発祥のYohaku製
歯ブラシセットやヘアブラシは化粧室に常備されていません。
これらはアメニティーキットとして既に提供されているからでしょう。
スキンケア類は、「Yohaku」製。
聞いた事無いので検索してみたら、日本のメーカーでした。
ホームページから抜粋します。
Yohakuのプロダクトはすべて自然そのものの素材と香り。
日本の各地で丁寧に育まれたヒノキ、クスノキなどの和木、
ユズや和ハッカといった果実やハーブの
100%天然精油を加え創香しています。自然の無垢な香りや素材がもたらす静寂さや解放感は、
わたしたちの心や身体に余白を生み出します。


ハンドソープの他、ボディーローション、アロマミスト、フェイシャルミストが用意されていました。

・アットホームな寝具がとても快適!
食後すぐに、クルーが座席にマットレスを設置してくれました。
このマットレスが結構厚みがあり、快適です。

フルフラットにします。
毛布がおうちの掛け布団の様に、軽くてふかふかしているのもポイントが高いです。





機内の天井が星空になっているのもムードがあって良いですね。
ぐっすり、4時間は寝る事ができました。
・機内が暑くて起きてしまった・・・
僕はかなり暑がり+汗かきです。
長袖長ズボンのパジャマを着て、更に掛け布団が厚かったので途中起きてしまいました。
こういう時、調整可能な空調があるととても助かります。
生憎、この機材にはそれがありませんでした。
エバー航空に限らず、最近の新機材は調整可能な空調が少なくなってきているので寂しいです。
・寝起きにジョニーウォーカー・ブルーラベルを頂く!
前回ジョニーウォーカー・ブルーラベルを飲んだのは10年前に乗ったエティハド航空ファーストクラスの機内。
この銘柄の特徴は、強くスーッとしたミントの様なフレイバーがする独特な味。
シングルモルトの様なオークの香りとは異なる癖があり、結構やみつきになりそうです。

着陸1時間33分前:朝食提供
中華オプションのお粥が結構魅力でしたが、夜食に中華を既に頂いたので、朝食は洋食を選択する事にしました。
パンケーキとオムレツの中から、後者を選びました。
まずは、フルーツからスタートです。
飲み物は、Champion Seriesの中からSimple Kaffaがおすすめされたのでこちらを選択。
もう一つは、人参フルーツジュースを。


このバター、グラスフェッドの牛から作られた無添加の発酵バターで、結構良いお値段します・・・

パンは3種類:チョコレートデニッシュ、クロワッサン、ロール。


クロワッサンとデニッシュを頂きましたが、ちょっとパサついていてそこまで感動しませんでした。
着陸1時間14分前:メインディッシュの提供
オムレツのベーコンポテト添えがやってきました。

飲み物のお代わりを聞かれたので、珍しいブルーベリーティーを頂きました。
このブルーベリーティーはシンプルに乾燥したブルーベリーにお湯でフレイバーを抜き取ったハーブティーの様なものだと思いますが、これがとても香りあってシンプルで美味しかった!
カフェインフリーでもあるのでとても飲みやすく、エバー航空のホットドリンクの中でかなりおすすめします!
着陸58分前:朝食終了
朝食の提供時間も満足!
こちらも日系2社だと大抵着陸の2時間半前に提供されますが、エバー航空は1時間半前。
しかも、しっかり2コースで提供されます。
しっかり睡眠時間が確保できるし、1時間半前ぐらいでペース丁度良くない?と思います。
最後に、おしぼりが配られました。


着陸前には飴玉が配られます。

適当な日本語が記載されている様でした(笑)。
このライム味のキャンディー、かなり酸味があって結構好きです。
無事暗闇の中到着。
沖止めでした。

・クルーに付いて:効率重視でとても礼儀正しいが、ロボット感が否定できない
エバー航空のクルーは全体的にとてもプロ意識が高いと思います。
搭乗後しっかり乗客一人づつに対して挨拶はするし、サービススピードの効率がとても良いのは睡眠時間をしっかり確保できるのでしっかり休めます。
嫌な顔せずに注文を聞いてくれるし、親切な事は確かなのですが、同時にそこまで積極的に飲み物を勧めてこないし(特にデザート終了後)、「あともう一歩!」という感覚がしました。
評価
機内クルーの対応:9/10(全体的にとても対応が良かったが、少しロボット的なところも感じられた)
機内の清潔感:5/5(文句無し;化粧室は頻繁に清掃されていた)
シートの設備:10/10(充電設備、複数あるシート操作パネル、エンタメハンドセット、収納ボックスと文句無し)
シートの快適さ:10/10(奥行きもあって横幅も広く、スタッガード式としてはかなり快適)
アメニティー:10/10(充実した内容のアメニティーキットとポーチ、とても快適なマットレスと掛け布団、パジャマなど他社のファーストクラスレベル)
機内食・飲み物の種類・量:4/5(夜行便だから仕方が無いが、もう少し量が欲しかったし、いつでも食べれるスナックメニューがあれば尚更良かった;飲み物の種類や食べ物のチョイスは夜食・朝食とも3種類あり豊富)
機内食・飲み物のクオリティー:8/10(他社ファーストクラスレベルのシャンパンやウィスキーは凄いが、機内食の味が全体的に薄味であったのと朝食のパンがパサついていた;夜食の牛肉麺は満足)
エンターテインメント:9/10(世界各地の映画やテレビドラマが楽しめるが、他社アジア系の航空会社と比較するとそこまで種類は豊富では無いかも)
コスパ:10/10(アビアンカ航空のマイル経由で東京まで通しで総額11万円は破格!)
総合評価:75/80 = 94点
まとめ
エバー航空の長距離路線ビジネスクラスでは、提供されるアメニティーや飲み物が他社のファーストクラスに匹敵し、非常に効率の良いサービススピードで乗客の睡眠を重視してくれる。程良い量の食事は胃に優しく、座席はあまりプライバシーが無いけどとても快適。全体的にかなりハイクオリティなエアラインである事は間違い無いです。