機内搭乗です。機種は行きと同じA340-500。エティハド航空では結構古い機体です。機体番号はA6-EHB。2006年4月28日から使用されています。成田出発予定時刻は21:20、アブダビ到着予定時刻は翌日の04:35。実際の飛行時間は11時間30分でした。日本からヨーロッパへ行くのとほぼ同じですね。
ビジネスクラスも、一番古い形のスタッガード式のフルフラットシートです。エティハドでは3種類のスタッガードシートがあり、今回搭乗するのが旧式タイプです。
この3種類のシートの違いは旧式タイプはあまり小物置き場が無い事。2番目に新しいのはシートが改良されて、小物置き場等がある事。こちらは、B777-300ERや名古屋便に運航されているA330-200に導入されています。最新のシートは昨年末導入されたばかりのA380やB787に設置されているシートで、後ろ向きシートと前向きシートが交互になり、その分座席の幅がだいぶ広くなった様です。この最新のシートはビジネス・ストゥーディオ(Business Studio)とも呼ばれていて写真で見るとかなぁーり広そうな雰囲気です。
<離陸前>
まず、シートから説明します。恐らく、エティハド航空は世界で一番最初にスタッガード式のシートを導入した主要航空会社です。2006年、9年前の話。今ではスタッガード式はビジネスクラスで主流になり、ANAを始めオーストリア航空、タイ国際航空、エミレーツ(A380機)、スイス国際航空、KLMオランダ航空、フィンランド航空等が導入。このスタイルが今でも流行しています。
最初2006年当初にエティハドが導入して写真を見た時、目から鱗でした。こんなシートがビジネスクラスにできたのかと。フルフラットになりながらも全席通路側にアクセスができ、窓際好きな自分にとってはこれは最高のシートです。このA340-500型機に導入されているシートは当時と一緒のスタイル。今となっては、新型機材のシートは改良されていますが、当時見て感動した同じシートに乗れるのも嬉しいです。ちなみに、形やスタイルは当時のまま旧式ですが、近年シートのカバー等が新しくリニューアルされたので、古さはあまり感じさせられませんでした。
A340-500のビジネスクラスは全部で28席。このフライトは満席でした。
写真左のCAはルーマニア出身でとてもサービスが良かったです。
ちなみに、全席プライベートの座席かと言うと、そうでもありません(全席通路側へアクセスはできますが)。真ん中の2席は唯一隣り合わせとなり、通称カップル席とも言われています。お互いの距離はかなり近く、座席自体もお互いに角度が若干向いているので知り合い同士ではないと違和感を感じるかもしれません。でも、仕切りを上げる事ができるので、万が一知らない者同士が座った場合にはこの仕切りをあげてプライバシーを確保する事ができます。良く考えられたシートです。
着席すると毛布、メニュー、アメニティーキットがありました。
マッサージ機能にはまりました(笑)
今回、初めて機内でマッサージ機能を使いました。ただの電動で背中ぐらいを軽く振動してくれるだけかと思いきや、結構な振動で、尻から腰、背中、肩など、重点的にやってから次の箇所へ進むというスグレモノに感じました。結構気持ち良かった~。一回マッサージボタン押すと10分ぐらいしてから自動的に止まるのですが、止まる事にまたボタンを押してマッサージを繰り返しました。かなり電力使ってしまったかなぁ。ほぼ10年前からこの様なシートがあるとは驚きです。
このシートランプは嬉しい配慮です。暗い機内でこのランプを付けても光は自分の座席の空間だけ明るく照らされるような感じになり、これだったら周囲の人に気にせず付けられます。天井に付いている読書灯はかなり明るいので、気を使います。
<おつまみ&夕食>
離陸後、飲み物とナッツのサービスから始まり、その後すぐに機内食となります。ナッツはちゃんとラメキン製に(笑)。飲み物はシャンパンをオレンジジュースで割ったミモザにしました。
メニューを案内します。詳細を読まれたい場合には右クリックで新しいページを開ければ文字が読めると思います。まずはドリンクメニューから。
食事メニューは以下の通り。
エティハド航空のビジネスクラスはアラカルト形式で、オーダーする時に好きな品を選んでお願いします。今回のフライトには夕食と朝食が提供され、それ以外にも「1日中いつでも」メニューがあります。選ぶのに大変です(笑)。
前菜はスープにしました。カリフラワー・スープ、クルトン入り。クルトンがちょっとしっとりしすぎていましたが、さっぱりしていて美味しかったです。乾燥している機内で飲むスープって何か別格です。
メインは鶏肉のアラビアスパイス風味アロマティックライス、マチュブースソース、玉ねぎのフライ、カシューナッツを選択。チキンはボリュームたっぷりあり、盛り付けも丁寧。レストランの様です。
次はチーズコースでしたが、満腹だったのでデザートワインとデザートだけを頂く事にしました。
デザートはウム・アリを頼みました。ウム・アリとは温かいアラビア風ベイクドブレッドプディングにローズウォーターの香りのクリーム、アングレーズソース。これ、ものすごく美味しかったです。クリームが別途小さな容器に入ってあり、プレゼンも凝っていました。デザートは別腹。これ、また食べたい。機内で温かいデザートを頂いたのは恐らく今回初めての体験です。
機内食の内容はとても満足行きましたが、一点気になったのは前菜からデザートまでの時間が長い事。デザート終了時には成田を出発から3時間が経過した上海上空。キャビンが満席でクルーもとても忙しそうにしていたので、あまり邪魔したくありませんでした。
この時間が掛かる原因がアラカルト形式だと思います。皆さん好きな形式で別々のものを頼むというのは、ある意味融通が効いて良いですが、満席の場合だとそれ全部に対応しなければいけないのでクルーの仕事が増え、全体的に時間が掛かります。
また、ワインやシャンパンを食事と共に頼むとき、わざわざクルーがボトルを持ってきて注いでくれ、更には乗客がウェインテイスティングを終わりOKするまで待ちます(プロ的で良いですが)。これでギャレーを行ったり来たりと大変でした。いっせいに前菜やメインを同じ時にサーブした方が、明らかに効率が良いはずです。
<就寝>
食事が終えすぐに寝る事にしました。シートをフルフラット状態にします。すると、両脇のアームレストも落ちて、幅が広くなります。エティハド航空、毛布(分厚く良質な感じ)は提供されましたが、シートカバー(ベッドカバー)はありませんでした。
マレーシア航空を前回利用した際には、シートカバーもありました。折角フルフラットになり、ベッド状態になるのでカバーはあった方が快適度がアップしますね。でも、十分快適で5時間ぐっすり熟睡できました。フルフラットって本当によく寝れます。
このシート、ベッドにした時のシートピッチは73インチ(185センチ)です。僕は身長167センチなので丁度良かったですが、身長185センチ以上だとフラットにした時、足を曲げなければいけなくなります。
<朝食>
起きた時にはインドのデカン高原上空でした。今回の旅は何回インドの上空を飛んでいるのだろうと思いながら。小腹が空いたので、チョコアイスを頼みました。チョコチップも入ってアイスの上にはクリスプブレッドも乗ってあり、ホント盛り付けに凝っています。
朝食時間になりました。おしぼりからスタートです。おしぼりはトレーに乗って提供されます。
朝食は、和食を選択しました。焼き鮭や卵巻、豆腐、味噌汁。。。等。シンプルで普通に美味しかったです(内容は上記メニューを参考下さい)。ご飯も丁度良い炊き加減でした。
この時点でかなり腹がいっぱいでしたが、一点メニューですごく気になっていたものがありました。
それは蕎麦。えび、しし唐、茄子の天ぷら付き。興味があったので、追加でお願いしました。蕎麦はちょうど良い硬さでつゆもしっかりだしの味がしてあり、天ぷらも機内としては本格的でした。うまかった!エティハド、機内食にはかなり力を入れています!贅沢を言わせてもらえば、付け合わせで七味唐辛子もしくはわさび、刻み海苔などあれば更に良かった。日系では無いので、ここまでのクオリティー出していれば十分です。
食後にエスプレッソを頂きました。ここもまたプレゼンに気を使っています。ただカップを持ってくるだけではなく、付け合わせにチョコレートと角砂糖、それも白砂糖とキビ砂糖の両方付きです。ちなみに前回ファーストクラスでアラブ風ミントティーを頼んだ時は、中東系のお菓子バクラバが付いてきました。
もうすぐアブダビに到着します。その前に、ギャレーとトイレを拝見しました。ギャレーは広さに驚きです。あれだけの盛り付けや豊富なメニューに対応するにはここまで必要なのでしょう。トイレは至って普通でしたが、窓が付いてあり、全体的に黒で調和されていました。あとはKorres製のアメニティーが並んでいました。
アブダビ空港で入国審査をスムーズに行うために、ファースト・ビジネスクラス専用レーンに並べるファーストトラックカードが配られました。
<飛行ルート>
行きはパキスタン上空、カラコルム山脈を経てタクラマカン砂漠、北京、韓国など所謂シルクロードルートで日本へ向かいましたが、帰りは全く別ルートで上海やミャンマー、インドを経由する南回りでした。
<エティハド航空ビジネスクラスの印象>
総合的にすごく良かったです。もちろん、ハード面(座席の快適さや機内食の充実ぶりと質)は文句無しでしたが、一番良いのはクルーです。とても丁寧で細かい要望を聞いてくれ、笑顔で対応してくれました。今回僕のシートを担当してくれたのはルーマニア人のクルーでしたが行きと同様にとても思い出に残る旅でした。
<ファーストクラスとの比較>
前回アブダビ→成田でファーストクラスを体験したので、比べてみたいと思います。
○ラウンジ
アブダビ空港ではこれから豪華なファーストクラスラウンジが2015年の後半期にリニューアルが完了されると予想され(現在は工事中)、それまではファースト・ビジネス兼用ラウンジです。成田ではファーストもビジネスもANAのビジネスクラスラウンジ利用です。
○シート
ビジネスクラスもファーストクラスもフルフラットですが、ファーストクラスになると更に前とのシートピッチがあり、横幅も1.5倍ぐらい広くなります。また、ファーストクラスだとドアを閉める事ができて完全な個室になります。もし、身長が185センチ以上ある場合にはエティハド航空のビジネスクラスシートはフラット時足を曲げなければいけなくなります。
○機内食
ファーストクラスには専属のシェフが付き、乗客好みの味付けや料理(メニュー以外にも)も作ってくれますが、ビジネスクラスも十分メニューが豊富で楽しめます。酒類など、ファーストクラスの方が高級なシャンパンやウィスキー等選べますが、上記メニューの内容通り、ビジネスクラスでも小腹が空いた時用のメニューもあるのでかなり充実しています。
○サービス
ここで差が付きます。ファーストクラスの方が乗務員一人あたりがケアする乗客の数が少ないので、もっとプライベートな感じで接する事ができます。また、料理もあまり待たされず、好きな時間に好きなものを申せばすぐに用意してくれます。ビジネスクラスの場合、特に満席だとクルーも食事時には忙しくなり、待たされることが多いです。今回の夕食は食事開始から終了まで2時間ぐらいかかったので、すぐに食べて寝たい!と言うのはよほど空席が多くないと厳しいでしょう。行きのファーストクラスは乗客が3人だけだった事もあり、クルーよりほぼ1対1でサービスしてくれたので食事も自分のペースで進み、終わったらすぐにベッドメーキングをしてもらい、就寝に付く事ができました。でも、僕を担当してくれたビジネスクラスのクルーも忙しい中とても親切で丁寧だったので、全然満足です。
○寝心地
ファーストクラスはクルーがちゃんとベッドメーキングをしてシーツ等を敷いてくれ、就寝用の枕も別に用意してくれます。また、ラウンジウェア(パジャマ)も付きます。ビジネスクラスでは、シートカバー等は無く、そのまま寝て上から毛布を掛けるだけです。毛布はかなり分厚く軽いもので、通常エコノミーにある様な毛布よりも良い素材です。やはりファーストの方が寝心地は良いですが、今回のビジネスクラスでも十分に5時間目を覚めずに熟睡する事ができました。
○その他
今回のビジネスクラスも非常に満足度が高い体験であり、総合的にはビジネスクラスで十分です。ファーストクラスは一度体験まで乗るのも面白いですが、料金はかなりビジネスクラスと差があるので(安く確保する入札式も含めて)、コストパフォーマンスから言えばビジネスクラスはかなり良いでしょう。
次はアブダビ空港とエティハド航空到着ラウンジを取材します。
「エティハド航空A340-500ビジネスクラス搭乗記:成田→アブダビその2(機内編)」への2件のフィードバック
こんにちは、1月にドバイへの家族旅行を計画している者です。航空会社を迷っているうちにこちらのブログにたどり着きました。
すしまるさんのブログはただの旅行記ではなくて、歴史、政治、色々な背景も綴られていてとても参考になり、楽しいです。ありがとうございます。
で、航空会社ですが、カタール航空(16万円)羽田成田着とエディハト航空(25万円)成田発着です。
カタール航空の場合、高齢の母に真冬の深夜着の羽田を避けたかった為、成田にしました。では、成田発着で良いのではとなりますが、羽田発着便の機材の魅力を捨てがたく欲張りな事を考えている次第です。ドーハ乗り継ぎも深夜ですが、ラウンジの評判を知り、母も楽に出来るかなと思いました。
コメント欄をお借りして、勝手な相談ですが、お目に止まりましたら、サジェストお願いいたします。
コメントをどうもありがとうございます。恐縮です。
その料金差でしたら、迷わずカタール航空を選択します。エティハドは確かに素晴らしいのですが、お連れの方と一緒だと、真ん中のカップル席だけが隣り合わせの座席となり、若干奥まっている印象があります。
カタール航空のビジネスはまだ体験した事がありませんが、成田便(B777)ですと横幅も前も広いフラットシートで隣座席との距離も無いので、お連れの方も安心できるとはずです。また、羽田便(B787)は真ん中が2席並びですが、プライバシー感が保たれているため座席間に若干距離がありお互いが話しにくく、通路が別々になってしまいます。高齢のお母様でしたら往復とも成田便の方が気分的に楽だと思いますし、開放感があってかなり快適だとも思います。
ちなみに、カタール航空はドーハ→ドバイはビジネスクラスが無くてファーストクラスの運行になるはずです(ビジネスの運賃ですがクラスはファーストです)。この際、ドーハ空港ではつい最近にビジネスクラスラウンジを更に上に行くファーストクラスラウンジができました(かなり広いので、歩く距離はあると思いますが)。こちらを利用できるのもプラスですね。このラウンジには、バスルーム付きの個室(ベッドルーム)もあるので、もし空室があればベッドで寛ぐ事もできます。ただ、羽田便の到着時は他の世界中から到着する時間帯でもあるので、当日朝一番に到着する成田便の方が確保できる可能性が高いですね。
決まったら教えて下さい。