今日、友人から日本から新たにインドに赴任する同僚が往復運賃の方が安いという事で、往路だけ利用して復路を放棄する旨を手配先旅行会社に伝えたら「何かあっても一切の責任を負えません」と返信があったと、相談が来ました。
日系航空会社の日本発は、往復は安い航空券があるけど、片道は異常に高いですね。
成田⇔デリーでJALの運賃設定をみてみましょう。いずれも2017年10月25日時点。
JAL往復最安値エコノミー(クラスS):72,000円+諸税
JAL片道最安値エコノミー(クラスY):340,000円+諸税
なんと、料金差は5倍弱。いくら何でも異常です。
ANAはどうでしょう。
ANA往復最安値エコノミー(クラスL):63,000円+諸税
ANA片道最安値エコノミー(クラスY):320,000円+諸税
こちらも5倍以上!
エアインディアは?
エアインディア往復最安値エコノミー(クラスU):64,800円+諸税
エアインディア片道最安値エコノミー(クラスL):52,900円+諸税
そんなに大差は無いけど、こちらは片道の方が若干往復より安い。
うん、もしJALやANAを選ぶ場合、復路を放棄したくなるのも理解できます。何故こんな事が発生しているのでしょうか。考えられる理由は以下の通り:
往復チケットは競争が激しいけど片道はそうでない。
そもそも、片道の料金が高い理由は正規運賃だからであり、割引運賃の設定が無いからです。往復に関しては需要が高く、自腹で乗る観光客が多く利用するため、ここは高いと客は来ない。
だから、割引運賃という名で料金設定を安くし、その分変更が不可等条件を厳しくしている訳です。
片道利用をするのは海外赴任する場合とか、留学とか。留学生で何十万も払える人は少ないので自動的に企業負担のケースが増えます。
その際、やはり航空会社としても儲けられるところから儲けたい。そして、日系という安心感があるからこそ、企業は高くても安全を買って選ぶ。
この様な自信がある事から、片道運賃に割引を適応しなくても、強気で居られるのでしょう。エアインディアの片道は割引運賃もしっかりある。
やはり「どれだけ安心を金で買える」というのが、ここで表れていると思います。
さて、この航空会社の強気態度ですが、実際の例で復路放棄された出張者のお客様が、後から勤務先に航空会社から差額の請求が来た、と聞きました。
この方はキャセイ航空で3か月有効期限のチケットを保持していて、インドでの仕事が長引いたことから復路をそのまま使用せず、別途航空券を購入して日本へ帰りました。
航空会社はこれに気づき、30万円近い差額が来てやむを得なく支払ったと。
キャセイも日系と同様で、日本からインドへの往復は最安値50,000円台+税から、そして片道は40万円近いです。
幸い、このお客様はうちで航空券は手配していなかったですが、もし旅行会社を通した場合、復路放棄した乗客の責任は旅行会社に来ることになり、請求書が来ます。なので、旅行会社としてはできるだけリスクを背負いたくないというがあるのです。
ただ、たぶん厳しいのは日本発のチケットでしょう。特にこれだけ差額が大きい場合には。
個人的には、過去(Eチケットになる前)エミレーツとJALでそれぞれ事情によって復路を放棄しましたが、何もありませんでした。それはインド発のチケットという事もあり、インド発だとJALでも最安値の往復運賃の方が最安値の片道運賃より安いとは言え、そんなに大差はありません。
また、例外に、他のお客様でちょうど今週台風の関東地方に上陸した23日朝発の伊丹→成田→デリーのJALチケットをうちで手配しており、2日前に日本から電話があって復路を放棄して他社で予約をしても良いか、という連絡がありました。
チケット自体はインドから日本への往復。本来なら後ほど差額請求があっても可笑しく無いですが、これはこちらの判断でOKにしました。まず、お客様は前日の22日への振り替えにしたかったけど満席。で、その時点では23日の予定は定刻出発なので他の航空会社への代替措置もできない。
結果的に、23日朝は見事伊丹→成田便が欠航。このお客様の復路便は自動的にノーショー扱いとなって、一応チケット自体は期限が切れるまで有効な状態です。この様な非常事態では、航空会社も流石に強気ではいれないでしょう。
答え:上記の様な自然災害などやむを得ない事情が無い限り、復路放棄はできるだけ避けた方が良いでしょう。
ボーナス情報:ここでは復路放棄にしか触れていませんが、もし往路放棄にした場合には後に入っている予約がすべてキャンセルになるので気を付けましょう。