今回はファーストクラスとビジネスクラスの違いシリーズを5回に分けます。
①座席編(今回はこれ)
②地上サービス編
③機内食編
④アメニティー編
⑤乗客編
<ファーストクラスに近づくビジネスクラス>
近年、ビジネスクラスのレベルは昔と比較して大幅にアップしています。
30年前、ビジネスクラスというと今のプレミアムエコノミー座席より若干広い程度が一般的だった。ところが、現在はその世界をはるかに超えています。
ラウンジの質も大幅に変化。昔はラウンジと言えば、飲み物と軽食を提供するのみが一般的だったが、今ではホットミール、シャワー、場合によってはマッサージを受けたりアラカルトダイニングができるなど、立派なものが多い。
<ファーストクラスを廃止する航空会社が増える>
ビジネスクラスがあまりにも進化しすぎて、ファーストクラスとあまり差別化ができなくなり、世界的にはファーストクラスを廃止する動きが主流。
北米系ではアメリカン航空のみ国際線ファーストクラスを提供していますが、そのアメリカン航空でさえ2024年末までにはサービスを廃止する予定。
欧州系は現在ブリティッシュエアウェイズ、エールフランス、ルフトハンザ、スイス国際航空の4社のみが存在。
中東やアジア系では比較的まだファーストクラスを提供している航空会社が多いですが、近距離路線では廃止するなど、規模は縮小しています。
でも、これだけビジネスクラスが凄くなっても、まだ存在する数少ないファーストクラスに追いついていない違いがあります。
<違いその①:黄金の条件が揃う座席がビジネスクラスには無い>
その黄金の条件とは、以下3つが全て揃っている事:
①全席通路側へアクセスできる
②長身でも足を伸ばして自由に動かせる
③座席脇の小物置き場・収納スペースが豊富
大体のビジネスクラスでは、上記から1つ〜2つ当てはまりますが、全部当てはまる航空会社は基本ありません(オマーンエアの旧A330を除く)。
全席通路側アクセスができるシートと言えば、基本足元を前方の座席スペースの下に食い込む形で、足元は自由に動かせない場合が多い。ANAの例を見てみましょう。
この場合、寝るときはどうしても足をボックスの中に入れなければなりません。長身だと膝を曲げなければならない。通常、このタイプの座席の長さは約180cmです。
サイドテーブルはゆったりしており、離陸・着陸時以外にはノートパソコンや小物を置く事ができます。
反対に、全席通路アクセスでは無いけれど、足元の周りに障害物が無く、足を自由に動かせるスタイル。ターキッシュエアラインズの777/A330が良い例です。このタイプの座席はフラット状態にした際200cm近くある事が多いので、殆どの人が膝を曲げる必要が無いです。
或いはJALのSSは全席通路アクセスができ、且つ足元も自由だけど、座席周りに収納スペースはあまり無い。
では、実際ファーストクラスとはどの様な座席でしょうか。
まずはキャセイパシフィック航空。
①通路側アクセスは当たり前、②足を思いっきり伸ばせて自由に動かせる、③座席脇の置いたり閉まったりできる収納スペースは豊富。
条件クリア。
次はルフトハンザ航空。
黄金の条件を全てクリア。座席前方のオットマンは収納ボックスにもなっています。
次はエティハド航空のA380機。2023年に3年ぶりにアブダビ⇄ロンドン線で運航が再開されます。
これは特殊で、シートとベッドが別れ、ドアが完備された完全な個室スタイル。
こちらも黄金の条件クリア。
ただ、ファーストクラスは棚の上の収納ロッカーが無い場合が多いので、収納スペースがその分座席の周りに多いのは当たり前なのですが、それがメリットです。棚の上のロッカーだと出し入れが面倒臭いという、究極の贅沢な悩みがあるので。
次回は②地上サービスの違いでファーストとビジネスを比較します。
まとめ
いくらビジネスクラスの座席が進化したとは言え、やはり限度があります。未だにファーストクラスでは当たり前の「黄金」の条件に当てはまる座席は、すしまる観測では一件の例外を除きありません。だからこそ、座席には決定的な違いがある訳です。
「①座席編〜ファーストクラスとビジネスクラスの違い」への2件のフィードバック
〈長身だと膝を曲げなければならない。通常、このタイプの座席の長さは約180cmです。〉とあるが、日本人の平均身長から考えれば、180cmあれば問題ない場合が多いのでは?
海外向け記事とは思えないし…
180cmを超えてます.寝れば足首は伸びるから2m近くなるはずですがスタッガードで狭い思いをした機材はありませんです。ANAでは乗ったことないですけど。