皆さん、1990年代はとっくに終わっています!マインドを変えて下さい!
時々、ネットの掲示板で見かけるのが、「〇〇まで飛ぶのに、格安航空券を探しているのでお得な情報教えて下さい」と言う旨の投稿。
旅行会社で航空券手配を10年近く担当していた私すしまるがキッパリ言います。
そんなもの存在しません。
格安航空券は20年前の話
まず、一般的に定着している「格安航空券」とは何か。
それは、その昔、消費者が航空会社から直接購入する事ができず、旅行代理店のみで販売していた超割引チケット。これは当時まだネット販売が浸透していなかったため、旅行代理店が航空会社の卸売業の様な形で大量に安く仕入れ、それを消費者に販売していた。
航空会社も当時は自力で直接消費者に繋がるのは難しかったので、旅行代理店と手を繋がなければ席を埋める事ができなかった。そのため、マージンも高く、代理店はチケット単価を下げてでもまだ利益をしっかり得る事ができた。
インターネットが全てを変えた①〜自社販売開始
21世紀になり、インターネットが全面普及し始めると、航空会社が気づき始めた。
「え、俺らで直接ネット販売した方が、代理店にマージン支払わないで済むし、得じゃね?」、と。
一部航空会社では、「最安値保証」という事まで顧客に約束する様になり、もし自社よりも安く販売されている所があればその値段で提供する、なんていう大胆な発想。
そして、代理店へのマージンはどんどん下げられ、販売しても一銭のマージンももらえない0%コミッションの航空会社も多くなりました。
代理店だけで無く、統一された航空券予約システム(GDSと呼ばれています)への支払いをストップする航空会社が出現します。旅行代理店はGDSが無いと航空券の発券ができないので、収入が激減したGDSは旅行代理店に今度は支払いを要求する様になります。
代理店はダブルパンチ!
こうなると航空会社自社よりも、格安価格で顧客へ提供すると赤字になってしまいます。
一部の大手代理店はまだ航空会社からの販売インセンティブが残るかもしれませんが、昔の様にチケット1枚販売してウハウハな状況で無い事は確かでしょう。
インターネットが全てを変えた②〜LCCとULCCの到来
もう一つ、格安航空券の意味が無くなってきた理由があります。
それは、格安航空会社(LCC)と超格安航空会社(ULCC)が航空業界に浸透してきた事。
これらはインターネットを駆使して代理店を一切通さず、全てのサービスを有料にするのでチケット代を一気に下げる事ができる。
従来活躍してきたフルサービス航空会社(FSC)も生き残るには価格競争に参入しなければならないので、極力余計なコストを削減する様になります。
特に、不必要になった代理店へ支払うマージンから。
では、消費者はどこから一番航空券を購入するのがベストでしょう。もう答えはお分かりかと思います。
航空会社のホームページから購入するのが一番無難
はい、これに尽きます。
航空会社から直接購入した方が良い点はいくつかあります。
<直接購入の良い点①:余計な手数料がかからない>
これは発券の場合だけで無く、変更やキャンセルにおいても、航空会社へ直接連絡をして行う事ができるので、航空会社が指定する手数料のみが発生します。
もし、代理店で発券した場合は、出発前の変更とキャンセルは航空会社へ問い合わせても対応してくれず、発券先の代理店へ連絡する様に指示されます。その際、航空会社側の手数料以外に、代理店の手数料が発生するので追加費用が加算。
<直接購入の良い点②:安心>
消費者と航空会社との直接のやりとりで済みますが、代理店だと第三者が入るので、もしこの第三者がしっかり仕事をしなければ大ごとになります。
これは、ネット販売専門の代理店も含めます。そして、多くのトラブルが発生。
例えば:
・正しく入力したはずなのに、姓名が逆になっているので飛行機に乗れなかった
・マイレージ番号がしっかり航空会社側に反映されていなかった
・代理店から特別食が確定できていると連絡されていたのに実際に一般食が出てきてしまった
パンデミック時に旅行業界では多くの従事者が退職してしまったため、この様な予約作業が無知な新人が多く増えてしまったので、ミスは起こりやすくなっています(これは代理店だけで無く、航空会社のスタッフもそう)。
その様なリスクを極力軽減できるのは、なるべく間の者がいない事です。
<直接購入の良い点③:様々な条件の運賃クラスから選択ができる>
オンライン専門の代理店だと、予約時に選択条件が少ない。
極端な例だと、変更・キャンセル不可か、可の二択!運賃クラスも教えてくれないので、どれぐらいマイルが貯まるかも分からない事も。
これが航空会社のサイトだと、エコノミークラスであれば大抵3〜4種類ぐらいから選べます。そして、それぞれどれぐらいマイルが貯まるか、という事が把握できます(航空会社によっては運賃クラスを全く表示してくれない事もありますが)。
発券時の予約クラスの調べ方は以前の過去記事に。
そして、その予約クラスをどれぐらいマイルが貯まるか調べられるサイトに照らし合わせると◎。
代理店で発券した方が良い場合
ただし、安さを追求せず、以下の条件が当てはまれば、代理店で発券した方が良い場合があります。
<条件①:優秀な担当者と繋がっている>
信頼できる担当者が居れば、それに越したことはありません。やっぱりネット決済不安。手配プロの知り合いに頼みたい。コミュニケーションの心配が無い。こういう時は本当に心強いです。
<条件②:航空会社のサイトから購入ができない運賃クラスが手配できる>
同じエコノミーでも、大抵10種類ぐらい運賃クラス分かれています。航空会社のサイトで表示されるのはほんの一部。稼げるマイルを気にする消費者は、この相談が可能です。
極力安い運賃で、マイルが最低75%貯まる運賃クラスで発券したい!でも、航空会社のサイトにはその運賃クラスが表示されない!という時はとても頼りになります。
<条件③:複雑な日程を組む場合>
様々な区間を別々の航空会社を含める様な複雑な日程は航空会社のサイトでは発券が厳しく、これは共通の予約システムであるGDSを駆使する事によって手配が可能になります。
<条件④:往復でキャビンを分ける場合>
例えば、行きはエコノミーだけど帰りはビジネスクラスが良い!という時。航空会社のサイトによっては、その様な選択が可能ですが、一部は指定したクラスのみしか表示されない事があります。その様な時、代理店が使用するGDSが活用できます。
<条件⑤:ネットで予約不可の航空会社の発券をする時>
イランなどアメリカから経済制裁を受けている国ではビザやマスターカードなどの一般的なクレカが使用できないため、ネットで手配する事ができない航空会社があります。そうなるともうオプションは限られますね。コネがある代理店であれば、可能になります。
この様なサービスを求める際は航空会社が提示する料金よりも数千円程、上乗せされる様であれば自然でしょう。
車で例えると一対一で対応してくれる代理店であればそれは細かい操作が可能なマニュアル車、航空会社のサイトはオートマ車みたいなものです。
検索に便利なグーグルフライト
個人的にグーグルフライトを愛用していますが、この様なサイトは沢山存在するので慣れたもので操作するのが一番です。
検索して気に入った航空会社を見つけたら、その情報を元にして航空会社のホームページで購入します。
もし航空会社で直接購入するより極端に安い運賃が表示されたら疑え!
上記記載の通り、現在は格安チケットが存在しないので、もし料金を照らし合わせてネット専門の代理店が極端に安い金額を表示したらまず疑った方が良いです。
この場合、大抵最終画面で、「金額が変更しました」となり、結果的にはそこまで安くならないはず。
まとめ
昔の様に、「この代理店は安い運賃を持っている!」と言う事は現代では全く聞きません。航空会社と代理店の関係上、今の時代はそれが有り得ないからです。もし、美味しい話があれば疑い、基本的には航空会社で直接購入する事がリスク面を含めると一番安心・安価です。或いは、手数料を追加で支払って信頼できる代理店で細かい依頼をするのもメリットがあります。
「騙されるな!今は存在しない「格安航空券」」への2件のフィードバック
非常にためになります。ありがとうございます。質問で、sky scannerなどのアプリやウェブサービスはどうやって収入を得ているのでしょうか?
コメントありがとうございます。Sky Scannerの場合は、紹介料という形でリンク先の各ネット代理店が契約が成立したら、前者へ支払うシステムになると判断します。