中東御三家と呼ばれる、エミレーツ航空、カタール航空、そしてエティハド航空の拠点である地域。
その他、オマーンエアもかなりレベルが高いですし、サウディア航空も頑張っています。
特徴としては、豊富な天然資源を財源に現地政府資本の豪華エアラインが存在する事。
①豪華にするには意味がある!
ただ単に、国が豊かだからエアラインを豪華にするのでしょう、と考えてしまいがちだけど、これにはしっかり理由があります。
<自国の知名度を上げるために投資目的で新規エアラインを立ち上げる>
今や、ドバイって名前は日本人のほぼ誰もが知っている都市ですが、30年前は日本までの直行便が無かったし、「そこどこ?」と言われる様な場所でした。
実はこれ、エミレーツ航空の存在が大きいのです。
立派な航空会社を立ち上げる事で、世界中から利用者を増やして、ドバイという土地を経由させて目的地まで運ぶ。
この際、ドバイのストップオーバーは無料にして、宿泊費を割引させたり様々なインセンティブを提供しました。
ドバイやドーハなどの湾岸諸国の都市は地理的にもちょうどアジアとヨーロッパやアフリカを結ぶ中間地点にあり、この様な世界各地を結ぶための中継地として最適なのです。
エミレーツ航空が誕生したのは1985年とまだ新しいですが、なんと当時はパキスタン国際航空から機材を2機リースさせてそこからノウハウを学んだと言うので、びっくりです。
今は後者はかなり衰退してしまいましたからね。
90年代に、カタール航空が誕生し、そして2000年代にエティハド航空が同様に誕生しました。
<利用者を増やすには豪華にしながら航空券の価格設定をお手頃にする>
もっと質を良くしながら価格設定を下げると言う、支離滅裂?な事をして、2010年代には米系航空会社が一斉にこの中東系の航空会社に対してボイコットをしていました。
アメリカ政府に中東系航空会社のアメリカへの市場参入を制限する様な働きかけも結果的にうまくいかず・・・
お陰で新規に就航する都市が毎年増え続ける中東御三家の成長ぶりは凄まじさがありますね。
さて、中東系の航空会社は決してバラ色ばかりではありません。
②国際色豊かすぎてクルーによってサービスのばらつきはある(全クラス;一貫性が無い)
中東系の航空会社は、文化的背景に現地人の女性クルーはほぼゼロに等しいので、世界各地から採用させています。
そのため、クルーの出身国によってサービスに一貫性がありません。
筆者の経験からしてアジア系のクルーは結構手厚い対応をしてくれる感覚があるけど、北アフリカ系や旧東欧系のクルーはそこまでサービス熱心じゃない場合が伺える時があります。
よくシンガポール航空と中東系航空会社が比較対象になる際、論争になるのがこの点。
なんせ、シンガポール航空はクルーのサービスに一貫性がとてもあるので安心感がある反面、中東系はここが運次第という事があります。
③航空会社によって差がある
かなり熟成されたエミレーツ航空とは対照的に、サウディア航空の様にイメージアップのために頑張っている航空会社がありますが宗教上の理由で酒が飲めない場合があります。
産油国として裕福なクウェートを拠点に置くクウェート航空はかなりしょぼいですし、産油国では無いロイヤルヨルダン航空は中東御三家と比較すると地味なエアラインです。
④労働組合が無い
絶対君主制が多い湾岸諸国は、民主主義では無いので、労働者の発言力が基本ありません。
不当解雇をされる可能性はゼロでは無いし(カタール航空ではよく聞きますね)、雇用された側は不満があっても我慢をしなければならない部分があります。
その分、所得税が免除になるなど、良い待遇との引き換えにはなります。
利用者側としては、これはメリットであります。
ストライキが実施される事がまず無いので、欧州系の航空会社の様に突然の労働組合の要求によるフライトキャンセルが無いのは安心感に繋がります。
⑤おまけ:ビジネスクラスでは炊き込みご飯をおすすめ!
中東系の航空会社では、是非現地の炊き込みご飯がおすすめです。
マンディ、マチュブース、ウージー、ビリヤーニ、カブサ、サヤディーヤなど呼び方が様々ですが、スパイスがたっぷり(でも辛くない)効いてハズレが無い!
まとめ
中東系航空会社は地理的に自分達の存在感をアピールするために、第三国として乗り継ぎをしやすくして、お手頃価格でサービスを充実させた戦略をとっています。利用者には嬉しいですが、その反面あまりにも国際色豊かになってクルーのサービスにばらつきがあり場合があります。宗教上、酒が飲めない航空会社も見られるのがこの地域です。