意見が分かれる中距離路線(飛行時間5〜8時間ぐらい)の深夜便機内食。
人によっては、乗ったらすぐに食事を楽しんでから到着までぐっすり寝ていたい派と、夜そんな重いもの食べれないから到着前に提供してほしい派の2種類に分かれると思います。
筆者は前者です。
なんせ、到着前の提供って、日系だと着陸の2時間半前になる場合が一般的なので限られた睡眠時間がかなり削られるんですよね。
出発直後であれば通常離陸後1時間以内で提供されるし、食べたらトレイを置きっ放しにできるから。
そんな中、シンガポール航空の深夜便ではビジネスクラスの乗客以上を対象に、夜食・朝食両方のメニューを用意しておいて、食事を離陸後か、着陸前かで選べる様になっています。
<日系航空会社の離陸直後に提供される食事は軽食のみ>
日系では離陸後の食事は軽食でスタート。
現地到着前に朝食が提供されるパターンです。
この記事では、同じ時間帯に発着する深夜羽田発のシンガポール航空、ANA、JALの3社のビジネスクラス機内食を比較してみましょう。
まずはシンガポール航空から。
<シンガポール航空特有のスリーパーサービス>
対象便は、羽田22:55発、シンガポール翌朝04:55着のSQ 635便。
こちらは懐石料理「菊乃井」の主人である村田シェフ監修の花恋暦メニュー。
深夜便のため、フルコースでは無いので昼食・夕食で提供される先付や水物(デザート)は含まれません。
ちょっと古いけど、シンガポール航空のホームページから引用した花恋暦の提供スタイル↓
もしくは、下記のインターナショナルメニューから選択ができます。
夜食としても、朝食としてもいけそうな品。何と和食を含めると4種類のメインディッシュから選べます(コンチネンタル・ブレックファストはただのパンなので省きます)。
和定食の焼き魚、定番のチーズオムレツ、蟹といくらのお茶漬け、そして明太子パスタの中から。
付け合わせは、シンプルにフルーツとパンのみ。
これ以外にも、スナックオプションとしてカップラーメン(トムヤム、チキン、野菜カレー)も用意されています。
どれもガッツリな食事では無いけど、メインが豊富である事と時間を選べるので様々なニーズに合わせられます。
次はANAを見てみましょう。
<ANAは軽食メニューが豊富ではある>
対象便は、羽田00:40発、シンガポール06:40着のNH 843便。
ANAは離陸直後に様々な軽食メニューを指定する事ができます。
洋食の朝食がラビオリとはとてもユニークではありますが、一般的に卵料理・ソーセージやパンケーキ系の方が無難だと思うのは筆者だけでしょうか。
<JALは軽食のメニューが限られるが朝食に「こだわり」がある>
対象便は、羽田00:05発、シンガポール06:15着のJL 35便。
JALはアジア路線の食事メニューを軽食部分で結構簡略化しています。
アミューズを除けばカップ麺しか用意されていません。
その反面、朝食は、結構力を入れている様です。
確かにストレート?なリンゴジュースや、アカシアのハチミツなど提供内容が豪華な印象があります。
ただ、シンガポール便はフライト時間が7時間前後とぐっすり睡眠するには中途半端。
深夜便となると、睡眠が優先する乗客が多いと思われるので到着2時間半前である日本時間午前4時台にいくら豪勢な朝食を提供されても、どこまで楽しめるか。
もしこのメニューが、離陸直後でも選択できる様になれば、満足させられる乗客が増える事は確かです。
<日系は日本発着目的から東京で乗継する外国人用の航空会社へ変化しつつある>
以前、日系航空会社と言えば日本を発着するだけの乗客がメインだったので必然的に日本人が多く乗っていましたが、最近では東京を中継地として目的地へ向かう外国人の乗客が急増しています。
日本に住んでいるとあまり実感しませんが、実は日系航空会社は北米とアジア間をお手頃価格で提供する航空会社として、海外では人気があります。
金額的にも日本までの単純往復と、日本を乗り継いで第3国へ向かうチケットの運賃がエコノミーもビジネスもほぼ同額な場合が多いのです。
そのため、尚更多様なニーズに柔軟性があった方が喜ぶ乗客は多いでしょう。
時差もあるので、日本を深夜に出発しても乗客によっては昼食タイムになる事もあるし。
<ワントレイでのサービスなのそこまで負担にはならないはず>
流石にエコノミーで個々のニーズに応じるのは大変ですが、せめてビジネスクラス以上ではこの様にメニューをフレキシブルにしても良いと思います。
コース料理として提供される昼食や夕食と異なり、夜食や朝食はワントレイのサービスが一般的だから、乗客が時間を選択できてもそこまでクルーに負担が無いはず。
この点、シンガポール航空はさすが多民族国家で国際金融ハブ、シンガポールのフラッグキャリアだけあります。決して豪華な内容では無いけど、とても実用的。
因みに、シンガポール航空の同便エコノミーでは夜食を離陸直後に提供して、後は到着まで希望する乗客には簡単なスナック(ポテチやビスケット、グレノーラバーなど)を用意しています。
まとめ
外国人の利用者が増え続ける日系航空会社。今まで通用していた日本人に似合ったサービスから需要が多様化しつつあります。深夜便の食事は日本人同士でも好みが分かれるはず。シンガポール航空の事例は、正にこれを解決してくれる手段でありました。