| オリジナルは2023年6月25日の記事:新たにJALのA350-1000をランキング対象に追加して更新しました。 |
2019年に、JALとANAの同路線、東京出発の同時間帯フライトのビジネスクラスを徹底比較をしました。
また、2025年に両社自慢の最高峰ビジネスクラス座席であるJALのA350-1000とANAのTHE Roomを比較しています。
今回は、座席だけに焦点を絞って両社の全ての長距離仕様機材を対象として幅を広げて、ランキング形式で紹介します。
ここで触れる長距離仕様とは、10時間以上のフライトが運行されている路線の機材です。
2025年11月現在、JALは3種類、ANAは2種類のシートを提供しています。
結論から述べると、順位は以下の通りです。
| 順位 | 座席名称 | 評価(/30) |
| 5 | JAL Sky Suite III | 20 |
| 4 | ANA ビジネススタッガード | 23 |
| 3 | JAL Sky Suite | 24 |
| 2 | ANA THE Room | 25 |
| 1 | JAL A350-1000 | 27 |
長距離路線として運行していないJAL Sky Suite II(ボーイング767搭載)は対象外です。
それぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。
5位:JAL Sky Suite III
多くの航空会社で採用しているリバーズヘリンボーン型です。
JALの場合は他社と比較すると同じ空間に更に座席を詰めているため、座席周りのスペースが結構狭く感じます。
その反面、足置きボックスは見た目によらず奥行きが深く、公式発表でベッドの長さは198cmにもなるので、背の高い方はもしかしたらANAのTHE Roomやビジネススタッガードよりも快適かも!?
真ん中の2席は足置き場のボックス部分が上下に分かれてなんと交差する仕組み。
フルフラット時、進行方向左側の座席は床スレスレの位置まで下がり、進行方向右側の座席は一般のベッドみたいに高い位置まで上がります。
また、これらの真ん中2席はお互い距離があるので、子連れの場合は通路を挟む形で座席指定した方が面倒を見やすいかもしれません。
収納スペースはサイドテーブル脇の小物入れのみに限られ、足置き場の下に鞄系の荷物が置けないのはネックですね。
中距離仕様機材としては優秀ですが、他社のリバースヘリンボーン型シートに慣れると圧迫感があり、10時間以上のフライトでこのタイプに当たると損した気分になります。
2025年11月現在、14時間にもなるヘルシンキ線に導入されているのはやばいです(笑)。



<JAL Sky Suite IIIのメリット>
*足置き場のボックスが広いので足を伸ばしやすい。
*ドアが無くてもプライバシー性が高い。
*小物を収納するスペースは充実している。
<JAL Sky Suite IIIのデメリット>
*全体的に圧迫感がある。
*子連れのアテンドにはとても最も不便なレイアウト。
*真ん中座席はお互い足元で交差するので、ベッドにした時に高さが異なる(低いvs高い)。
JAL Sky Suite IIIの詳細と評価
| 導入年 | 2016 |
| 導入機材 | 787-9の一部 |
| 運航路線(2025年11月時点) | 羽田⇄ホノルル、ソウル(金浦)、台北(松山)、香港、バンコク、デリー、ドーハ、ヘルシンキ
関西⇄ロサンゼルス、ホノルル 中部⇄ホノルル |
| 座席の空間(/5) | 3 |
| プライバシー性(/5) | 4 |
| ベッドの長さ(/5) | 5(最大198cm) |
| 横幅(/5) | 3(最大53cm) |
| 収納スペース(/5) | 3 |
| 子供の世話しやすさ(/5) | 2(中央2席) |
| 合計ポイント(/30) | 20 |
4位:ANAビジネススタッガード
JAL Sky Suite IIIと比較すると空間はゆったりとしています。
座席自体はそこまで広くありませんが、シートの全体的なバランスが良く、限られたスペースを最も活用できたシートでは無いでしょうか。
弱点としては座席の幅が他のタイプと比較すると狭めなのと、ベッドの長さが若干短く感じられます(少なくても787-9では)。
また、サイドテーブルが通路側に位置する座席はプライベート感があり落ち着きますが、座席が通路側に近い方は露出度が気になるかもしれません。
ビジネススタッガードの特徴は、5つの座席タイプの中で、唯一真ん中の座席同士が通り抜けができるので、子連れの際にはとても世話がしやすい事です。
A380ではカップル席になっているので、尚更です。



<ANAビジネススタッガードのメリット>
*他の乗客と程よい距離感がある。
*座席としての快適性バランスが良い。
*真ん中の座席同士が通り抜けできるので子連れの際には世話がしやすい。
<ANAビジネススタッガードのデメリット>
*ベッドにした際、身長が高い場合は膝を曲げる必要があるかもしれない。
*通路に面した座席は露出した形になるので人の行き来があると落ち着かない。
*どの座席も隣とある程度の距離があるのでお互い会話がしにくい(カップル席があるA380を除く)。
ANAビジネススタッガードの詳細と評価
| 導入年 | 2010 |
| 導入機材 | A380、777、787-10、787-9、787-8の一部(それぞれ若干バリエーションあり) |
| 運航路線(2025年11月時点) | 羽田⇄ワシントンDC、シカゴ、ヒューストン、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、バンクーバー、ホノルル、北京、上海(浦東)、上海(虹橋)、香港、マニラ、ホーチミン、バンコク、クアラルンプール、シンガポール、ジャカルタ、シドニー、デリー、イスタンブール、ストックホルム、ウィーン、ミラノ、フランクフルト、ミュンヘン、パリ
成田⇄メキシコシティー、サンフランシスコ、ホノルル、大連、上海(浦東)、バンコク、シンガポール、ジャカルタ、パース、ムンバイ |
| 座席の空間(/5) | 4 |
| プライバシー性(/5) | 4(通路側以外)
2(通路側) |
| ベッドの長さ(/5) | 4 |
| 横幅(/5) | 3 |
| 収納スペース(/5) | 4 |
| 子供の世話しやすさ(/5) | 5(中央2席) |
| 合計ポイント(/30) | 22〜24(=平均23) |
3位:JAL Sky Suite
専用の通路がある窓際はほぼ個室感覚です。
一番の特徴は、5つの座席タイプの中で唯一、ベッドにした時に足を狭いボックスの中に収めなくて済むので自由自在に動かせます。
ちょっとしたファーストクラス感覚です。
通路側席より、窓際席の方が広く感じます。
子連れの際は、窓際と通路側の座席のセットであれば結構世話がし易いでしょう。



<JAL Sky Suiteのメリット>
*窓際席は専用通路があるので、個室感がある。
*ベッド状態の時、足をボックスに収めなくても良いので解放感がある。
*窓際と通路側のセットであれば子連れの際は世話がし易い。
<JAL Sky Suiteのデメリット>
*座席脇の収納スペースが非常に限られる(足置き場の下には十分なスペースはあるが)。
*離着陸時は仕切りを下げなければならないので、この間は隣人と近い距離感を感じる。
*テレビ画面が遠いので操作はコントローラーを使用しなければならない。
JAL Sky Suiteの詳細と評価
| 導入年 | 2013 |
| 導入機材 | 777、787-9の一部、787-8の一部 |
| 運航路線(2025年11月時点) | 羽田⇄シカゴ、サンフランシスコ、大連、北京、上海(虹橋)、マニラ、バンコク、シンガポール、シドニー、ロンドン、パリ
成田⇄ボストン、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、シアトル、バンクーバー、マニラ、クアラルンプール、メルボルン、ベンガルール、フランクフルト |
| 座席の空間(/5) | 5 |
| プライバシー性(/5) | 4(窓際)
3(通路側) |
| ベッドの長さ(/5) | 5(最大188cm) |
| 横幅(/5) | 4(最大65cm) |
| 収納スペース(/5) | 3 |
| 子供の世話しやすさ(/5) | 4(窓際+通路側ペア)
3(中央2席) |
| 合計ポイント(/30) | 23〜25(=平均24) |
2位:ANA THE Room
大胆なビジネスクラスとして業界最大級の広さを誇る座席、ドア付きで完全に閉まる日本初の完全個室型シート、そしてドアを閉めると城塞の様な感覚。
世界を驚かせたこの革新的な座席は、ANAだけに搭載されているオリジナルシートであり、発表当時はカタール航空のQスイートに並ぶ世界一のビジネスクラスシートとも呼ばれていました。
ただし、横幅を広くした分、奥行きが狭く、クッションが薄く、座席周りの収納スペースがほぼゼロなので代償は伴っています。



<THE Roomのメリット>
*ドア付きなので、閉めるとほぼ完全プライバシーの空間を満喫できる(ただし若干隙間がある)。
*座席がとても広く、リビングルームのソファーで寛いでいる感覚がある(子供であれば同じ座席で一緒に過ごす事ができる)。
*真ん中の2席は距離が近いため、カップルや子連れに最適。
<THE Roomのデメリット>
*奥行きが短く、ベッドにした際、身長170cmで既に足がピッタリ壁にくっつく(それ以上は体を斜めにしなければ真っ直ぐ寝られない)。
*クッションが薄いので座席は結構硬め。
*座席周りに収納スペースがほぼ無いので基本手荷物は全て棚上のロッカーに入れなければならない。
ANA THE Roomの詳細と評価
| 導入年 | 2019 |
| 導入機材 | 777の一部 |
| 運航路線(2025年11月時点) | 羽田⇄ニューヨーク、シカゴ、ロンドン
成田⇄シカゴ、サンフランシスコ |
| 座席の空間(/5) | 5 |
| プライバシー性(/5) | 5 |
| ベッドの長さ(/5) | 3 |
| 横幅(/5) | 5 |
| 収納スペース(/5) | 2 |
| 子供の世話しやすさ(/5) | 5(中央2席) |
| 合計ポイント(/30) | 25 |
1位:JAL A350-1000
ANA THE Roomの欠点だったポイントを全て改善するかの様に仕上がった最新鋭機材の座席。
ビジネスクラスとしては珍しく、ツッコミどころが殆ど無いぐらい、完璧に等しいシートです。
唯一の欠点は窓際座席にアームレストが設置されていなく、肘を休める場所が無い事。



<JAL A350-1000のメリット>
*奥行きが長く、最大198cmもあるので背が高くても足をしっかり伸ばして寝られる。
*座席周りの収納スペースがたっぷり!扉付きのシューズラックや服が掛けられるクローゼットまでついている!
*ドアや壁が高く、プライバシー性がとてもある。
<JAL A350-1000のデメリット>
*窓際の座席はアームレストが無いので座っている状態で肘を休めるのに不便。
JAL A350-1000の詳細と評価
| 導入年 | 2024 |
| 導入機材 | A350-1000 |
| 運航路線(2025年11月時点) | 羽田⇄ニューヨーク、ダラス・フォートワース、ロサンゼルス、ロンドン、パリ |
| 座席の空間(/5) | 5 |
| プライバシー性(/5) | 5 |
| ベッドの長さ(/5) | 5(最大198cm) |
| 横幅(/5) | 3(最大56cm) |
| 収納スペース(/5) | 5 |
| 子供の世話しやすさ(/5) | 4(中央2席) |
| 合計ポイント(/30) | 27 |
まとめ
どの座席もとてもよく考えられたデザインです。
特にJAL A350-1000、ANA THE RoomとJAL Sky Suiteはビジネスクラスとは思えない程、ワンランク上のデザイン・快適性があるでしょう。
ANAビジネススタッガードは、業界水準のビジネスクラスと言えますが、JAL Sky Suite IIIは圧迫感があり、長距離ビジネスクラスとしてはちょっと乗りたく無いかな、と言うのが本音です。






