ずっとやってみたかったエミレーツ航空とエティハド航空のファーストクラス比較。
2015年、2016年にそれぞれエティハド航空のファーストクラスに乗って感動してから、いつかエミレーツ航空の最新鋭にも乗ってみたい!と思いながら、2023年にやっとエアカナダのマイルを購入する裏技を駆使して体験する事ができました。
筆者のエティハド航空での体験が8年も前になるため、比較しても情報が古すぎるのでは?と躊躇していましたが、最新のYouTubeや他ブロガーさんの体験を参考にすると提供内容にあまり差が無さそうに感じさせられるので、思い出の整理と併せて、記事にしてみます。
比較対象として最も大きな違いは、2023年にアブダビ国際空港にターミナルAが開港して、エティハド航空は全て新ターミナルへ移転となり、ラウンジも一新される事になりました。
世界で一番飛び抜けたファーストクラス?
現在、エミレーツ航空はボーイング777に2種類、A380に1種類のファーストクラス座席があり、今回は同社自慢の2017年に登場した新しいボーイング777だけに搭載された「ゲームチェンジャーファーストクラス」を対象にします。
幸い、この新しいファーストクラスはドバイ⇄羽田路線に定期的に導入されているので日本を行き来する際には乗れる可能性が高いです。
エティハド航空にはボーイング787のほんの一部と、A380全機材にファーストクラスを導入しており、こちらも同社自慢の最も話題になっているA380機が対象となります。
残念ながら日本路線にはファーストクラスの設定は無いので、アブダビからロンドンやパリ、ニューヨーク等限られた路線でのみ乗る事ができます。
両社とも「普通」を超えた座席やサービスを提供しており、もしこの世界で一回だけファーストクラスを体験したいとしたら、この二社のどちらか選択するのが最も印象的になる可能性が高いと思います。
豆知識:一国あたりに拠点を置く複数の航空会社が国際線ファーストクラスを提供しているのはこの世界に3つしか存在しない
世界的に国際線ファーストクラスを廃止する動きが盛んになってきています。
以前はアジアの中でも韓国が大韓航空とアシアナ航空、台湾がチャイナエアラインとエバー航空等、一国を拠点に複数の航空会社が国際線ファーストクラスを提供していましたが、大韓航空を除いてこれらはビジネスクラスが最上級クラスとなっています(アシアナ航空は旧ファーストクラス座席をビジネススイートとして販売していますが)。
2024年11月時点、実に一つの国に拠点を置く航空会社で2社以上が国際線ファーストクラスを提供するのは以下の3カ国に限られます。
*日本:JALとANA
*中国本土:中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、そして厦門航空
*アラブ首長国連邦:エミレーツ航空とエティハド航空
この3カ国の一つに、そのアラブ首長国連邦のドバイベースとなるエミレーツ航空と、首都アブダビベースのエティハド航空があるのはとても珍しい存在です。
<本家空港の地上サービス:エティハド航空優位>
ここで供述する本家空港とは、エミレーツ航空がドバイ国際空港と同空港のファーストクラスラウンジ、エティハド航空がアブダビ国際空港と同空港のファーストクラスラウンジです。
エティハド航空のファーストクラスに乗るメリットは限られた路線にしか導入していないので、利用者が少なく個々への対応がとても丁寧です。
体験から語ると、例えばアブダビ空港のファーストクラスラウンジのジムで運動が終わり(旧ラウンジではフィットネスエリアがありました!)シャワーを浴びている時、預けているジャケットをわざわざアイロン掛けしてくれて、着替えはわざわざエティハド航空の紙袋に折りたたんで渡してくれました。
↑左上にはエティハド航空のファーストクラスロゴ入りでグッチの紙袋より貴重かもしれません(笑)
エティハド航空の地上スタッフは非常にフレンドリーで親切な印象がとても強かったです。
その反面、エミレーツ航空の場合あまりにもファーストクラスが搭載されたフライトが多いせいか、正直空港ではとても洗練されたサービスは期待できません。
例えばラウンジのバーでスパークリングウォーターをお願いした際、笑顔も無く「はい」ってボトルごと渡されたのは驚きました。
グラスに入れますか?氷を入れますか?も聞かれなく(笑)
スタッフの多くも一部除きそこまでサービス精神旺盛な感じでは無く、エティハド航空と比較するとかなり対応の差を感じさせれました。
エミレーツ航空のファーストクラスラウンジは非常に広く(特にコンコースAラウンジは端から端まで歩いて徒歩20分!)、一つの街の様になっています(笑)
なお、両社とも本家の空港では15分のマッサージサービスが無料で体験する事ができます。
これは嬉しいサービスですね。
<本家空港のラウンジ飯:エミレーツ航空優位>
地上サービスで唯一エミレーツ航空の方が感動したのは、食事です。
とにかく種類が豊富!
ドバイ空港のファーストクラスラウンジは利用者が多いせいか、充実したアラカルトダイニング以外にもビュッフェもとても種類があり、何を食べても美味しかったです!
エティハド航空のラウンジはスナック類以外は基本アラカルトメニューから注文するダイニング形式のみになります。
こちらも十分に質が高いですが、種類はエミレーツ航空のラウンジに敵いません。
<座席の快適度:エミレーツ航空優位>
エミレーツの新777はゼロ重力シートが自慢であり、とても快適に過ごせるアングルの設定ができます。
冗談抜きで、本当にこのシートは快適そのものです。
シートの柔らかさも丁度良く、体を包んでくれる感覚があります。
エティハド航空はシートとベッドが分かれているため、座席自体そこまでリクライニングができず、ちょっと快適なオフィスチェアという感じ。
一応フェラーリのシートをデザインしているポルトラーナフラウ製なんですけどね。
エティハド航空は現実的な快適性よりもデザイン性を重視している様に伺えます。
<ベッド状態の快適度:エミレーツ航空優位>
エミレーツ航空の寝具はレベルが違います・・・
ふかふかの巨大枕、気持ちの良い毛布、そしてしっかり厚みのあるマットレスが用意され、まるでランクの高いホテルのベッドと快適性は遜色ありません。
エティハド航空はマットレスの下の折り畳み式ベンチシートがそこまで弾力性が無いせいか、マットレスを敷いても「あれ、ちょっと硬いな」という印象です。
丁度旅館で敷くような和式の布団に似ているかもしれません。
個人差ではありますが、柔らかいベッドが好みの筆者にとってはエミレーツ航空の方が快適に感じます。
<機内食:エティハド航空優位>
エミレーツ航空のファーストクラスの機内食はそこまで感動しませんでした。
キャビアのサービスを別にすれば、プレゼンの仕方やクオリティーはビジネスクラスレベルという印象です。
例えば、エミレーツ航空とエティハド航空で注文した以下3つの共通メニューを比較してみましょう:
・前菜のサーモン
・メインの中東風炊き込みご飯
・チョコレート系のデザート
まずエミレーツ航空。
厚切りサーモンが4枚と贅沢ですが、至ってシンプルなプレゼンです。
メインのラム肉はいかにも「レンジでチーン」的でちょっとパサパサしていたし、不味くは無かったけど思い出に残る味でもない。
至って普通の小さいチョコレートタルト。
プレゼンがもっと繊細なエティハド航空と比較してみましょう。
サーモンの量としては厚切れが一本ですが、両サイドにメロンとスイカが添えてあり、ハーブがトッピングされています。
まるでお洒落なレストランレベルです。
炊き込みご飯(ビリヤーニ)はしっかり香りが染み込んでいてトッピングのキャラメルオニオンもパリパリ。
米の中にはジューシーな肉が入っています。
同じ炊き込みご飯でも、こちらの方が美味しく頂けました。
こちらは「ラクダのミルク✖️チョコレート」をテーマにしたもので、左端のアイスクリームは溶けかかっていたものの生チョコバー、板チョコ、トリュフそれぞれ食感を味わう事ができました。
そしてチョコレートは濃厚で美味しかったです。
見た目も、質も機内食は断然にエティハド航空の方が上です。
<クルーのサービス:エティハド航空優位>
エミレーツ航空は明るく一緒にお話をすると楽しいクルーが多いですが、エティハド航空の方がプロ意識が高いクルーが多い印象です。
例えば、酒を注ぐ時は必ずボトルのラベルを乗客に見せてから提供するのが当たり前ですが、エミレーツ航空でボトルあたり十万円を超えるヘネシーパラディーを注文した時はそのままグラスのみで運ばれました。
また、アメニティーキットについてはエミレーツ航空は搭乗時に配布される気配が無く、しばらくしてこちらから確認したら持ってきてくれました。
クルーの対応自体は気さくでフレンドリーなのですが、エミレーツ航空ではどこか「あれ?」と感じる事がいくつかあります。
エティハド航空ではファーストクラスを担当してくれた全てのクルーのサービスは申し訳ないほど丁寧でプロ意識が強かったので、とても居心地が良かったです。
<アメニティーキット:エミレーツ航空優位>
エミレーツ航空のアメニティーキットはブルガリ製のコスメ類を始めとする、ずっしり中身の詰まったポーチがもらえ、更にスウェーデン発祥のバイレード製のコスメが前方の引き出しに用意されています。
保湿パジャマは別途オリジナルトートバックと共に提供されます。
内容については以前の記事で同社のビジネスクラスとファーストクラスのアメニティーキットを比較したので参考下さい。
女性用は中身が異なります。
機内で貰えるものが多いので、旅行の始まりに乗った時はしっかり事前にスーツケースの中に場所を確保しておきましょう!
エティハド航空では男女兼用のアメニティーキットが配布されます。
上記は2016年のアメニティーキットですが、中身(ハンドクリーム、フェイシャルミスト、リップバーム、パルスポイントオイル等)はブランドが異なるだけで基本アイテム類は一緒である事が伺えます。
2024年の最新バージョンはポーチがアルマーニ製、中身がESPA製。
アルマーニ製のパジャマが別途提供されます。
エティハド航空のアルマーニ製ポーチは格好良さそうですが、中身の実用性やクオリティーはエミレーツ航空の方が軍杯が上がります。
エミレーツ航空のパジャマは今でも自宅で愛用しているアイテムです🎵
<設備:引き分け>
どちらもオリジナリティー溢れて凄いです(笑)
まずはエミレーツ航空の新777。
特徴を挙げると:
・1−1−1配列なので広い!(通常の同機種では1−2−1が主流)
・2024年時点、世界の航空会社で唯一、床から天井まで伸びる完全個室型シート
・室内の空調の温度設定が調整できる!
・真ん中の座席はデジタルで映されるバーチャルウィンドウがある!(→正直微妙)
エティハド航空のA380は何といっても「部屋」コンセプト!
・座席とベッドが分かれている
・隣との仕切りを下ろしてダブルベッドにできる
・機内でシャワーが浴びられる
・ビジネスクラスと兼用の機内ラウンジがある
正直機内シャワーや機内ラウンジはエミレーツ航空のA380機材には敵いませんが、今回の比較対象では無いので含めません。
まとめ
エミレーツ航空 | エティハド航空 | |
地上サービス | ✔️ | |
ラウンジ飯 | ✔️ | |
座席の快適度 | ✔️ | |
ベッド状態の快適度 | ✔️ | |
機内食 | ✔️ | |
クルーのサービス | ✔️ | |
アメニティーキット | ✔️ |
一言でまとめるとエミレーツ航空は快適を追求した実用性が高くて、カジュアル感がある。
ファーストクラスであっても堅苦しい雰囲気は無いので、人によってはその方が気が楽かもしれません。
エティハド航空は対照的にデザイン製と繊細なサービスに凝っている印象です。
個人的には、機内食と人的サービスは非常に重点を置くので、エティハド航空の方が優位になります。