質問:インドで一番規模の大きい航空会社は?
エアインディアではありません!
エアインディアは2024年にシンガポール航空の子会社でもあったビスタラ航空を吸収して更に自社機材が増えたにも関わらず、実はインド最大の航空会社はLCCのインディゴです。
現在ではインド国内線市場においては60%以上のシェアを誇っています(対するエアインディアは25%程度)。
インディゴは長年インドで唯一黒字化している航空会社である事で、安全と定時発着にとても力を入れ、利用者から最も信頼されているインド系の航空会社でありました。
が、その信頼性がここ数日間でやばい事に!?
インディゴは突如デリー出発全便をキャンセル!!!
ここ数日間、一部フライトで欠航がありましたが、最も状況が悪化したのは昨日。
12月5日、インディゴはデリーを出発するフライト(国内線・国際線両方)を全便キャンセル。
他の都市発着のキャンセル分を合わせるとなんと1,000便以上が欠航して各空港は大混乱。
代替フライトのアレンジが追いつかず、人で溢れた空港ターミナルで一晩明かす乗客も出てきています。
インド大手メディア、Firstpostによると途方に暮れた混乱客へ食料や水さえ提供されず、ターミナル内ではデモも発生した様です。

インドの国内線運賃は高騰:国内線よりもインド→日本便の方が安い!?
キャンセルされたフライトの大部分はデリー全便を始め、ムンバイ、チェンナイ、ベンガルールなどのインドを代表する都市部の発着。
ただでさえ需要が高い都市間のため、これだけシェアの大きいインディゴの欠航によって他の航空会社の料金設定がとんでも無い事になっています。
インドでは需要と供給によって運賃が大幅に変動するのが特徴です。
例えば、本日12月6日のインド最大の需要があるデリー→ムンバイの最安値運賃。

なんと片道67,000円弱!
普段、このルートは片道10,000円前後が妥当の料金設定なので、これはインドの中流階級の人々の月収を遥かに超える金額です。

因みに、明日12月7日にエアインディアで東京へ飛ぶ場合、ムンバイ行くよりも安い53,000円弱。

なので、相当金銭面で余裕が無いと容易に他社フライトへ代替する事が困難になっています。
昨日12月5日はコルカタ→ムンバイの片道運賃が INR 90,000(約16万円)まで跳ね上がって異常事態になりました。
理由は航空会社側でパイロットの休憩時間を規定通りに確保できていない事が指摘された
何故こんなに一気にキャンセルが発生したか。
理由は、DGCA(インド民間航空総局)が2025年7月に発表した新しい航空会社の乗務員の必須休憩時間規定に対して、本来であれば11月から施行しなければならなかったのを、インディゴがパイロットへこの対応を不十分だったとした事を指摘されたのが発端です。
そのため、急遽、規定に従うためには大部分のパイロットを休憩させ、その間はパイロット不足に陥ります。
この規定の変更は:
| 従来 | 改定後 | |
| 1週間あたりの必須連続休憩時間 | 12時間 | 48時間 |
| 1週間あたりの夜間着陸制限数 | 6回 | 2回 |
| 1日あたりの最長労働時間 | 14時間 | 12時間 |
参考:インディペンデント
ただパイロット休憩を確保するだけだれば、これまでの大規模な欠航までは至りません。
それに付随して12月は移動の混雑シーズン、インド北部は濃霧の影響で時期的に欠航が発生しやすくなり、これらの状況が重なって、自社システムが完全に不具合でアウトになったのが昨日12月5日です。
当局は2026年2月まで一時的に新ルールの適応除外を決定
DGCAはこの混乱を避けるために、2026年2月10日まで新しい規定を例外的に適応除外する事にしました。
それまでに、インディゴは当局へ定期的に今後の計画を発表する事を義務付けられています。
その間、インディゴは新しいパイロットの採用して事態の収束を図る予定です。
影響された乗客は全額返金を約束されたものの・・・
2025年12月5日〜15日にインディゴ便を予約保持している乗客のみ、全額返金は約束されています。
一応影響された乗客には食事やホテルが無償で提供されるとはなっていますが、あまりの混乱の多さに実際の立ち往生された乗客の様子だと十分な対応はされていない様に捉えられます。
インディゴのホームページでは以下の公式発表が。

運行スケジュールが収束するのは数日間かかるとされています。
インディゴは乗らない方が良い?
インディゴは2025年3月時の決算がコロナ前の4倍近い税引後の利益を生み出しているので、決して業績は悪くありません。
今回は新しい規定以外に様々な要因がドミノ倒しの様に重なってしまったシステム不具合による大幅な欠航であるので、流石に長続きはしないでしょう。
業績が悪い航空会社であれば不安ではありますが、依然として急成長している航空会社である事は変わりないので特に心配しなくても良いと想定します。
しかしながら、他のインドの航空会社では同様な混乱が見られなかった事から、インディゴが新規定に完全に従うまでは(少なくても2026年2月10日の期限まで)、様子見姿勢が無難かもしれません。
以前に、エアインディアとインディゴに乗るならどちら?という記事を投稿したので、気になればそちらも確認下さい。
まとめ
遂にインディゴの最も信頼性が高かった定時率の壁が崩壊してしまいました。
ただし、この19年間これだけ巨大な航空会社に成長しても一度も事故を起こしていないので、安全である航空会社である事は変わりません。
まずは新しい規定に十分に対応するまでは様子見でいる事が無難でしょう。






