新シート体験会の目玉は何と言ってもビジネスクラスのTHE Room FX。
2019年に航空業界を震撼させたTHE Roomの改良バージョンです。
このシートの一番のサプライズは、なんと座席のリクライニング機能を排除した事。
2022年にフィンエアーが世界初この大胆なコンセプトを導入して以来、結構評判は良さそうです。
今回のANAが2社目の導入になります。
前向きと後ろ向きのシートの交互でより空間の効率が良くなる!
多くの航空会社ではビジネスクラスは進行方向前向きか、ヘリンボーン型の様に斜め前向きが一般的ですが、個人的な経験からすると最も快適なレイアウトは前と後ろの座席を交互に設置したシートです。
このスタイルを導入させているのは世界で3社のみ。
初めて導入させたのはエティハド航空で、その後カタール航空のQスイートとANAのTHE Roomが続きました。
このスタイルだと足元だけが交差され、座る部分を広くできます。
現行のスタッガードやヘリンボーン型だと前方座席の座る場所と後方座席の足元が被るのでお互い狭くする必要があるのです。
THE Room FXの座席図はこんな感じ。

まずは新シートの外観から。






細かく見ていきましょう。
THE Room初代シートの問題点を全て改良
いやー、驚きました。
当ブログのこちらの記事で、THE Roomの欠点を3つ挙げたのですが、まさか全て解決してくれる事になりました。

もしかして、開発担当者の方はこちらの意見を参考にされました!?(そうだったら嬉しいのですが、笑)
一つづつ検証していきましょう。
改良①:ベッドの寸法が長くなる
オリジナルバージョンでは、横幅が強調されすぎて、身長170センチ以上の方はベッドにした際、体を斜めにしないと足を伸ばせない状況でした。
実際、従来シート寸法の最大長さは公表すると都合が悪いのか、ANAのホームページでは詳しい数値を確認できません。
しかし、今回のFXバージョンでは公式に76.5インチ/194センチまで伸びるので大幅に深くなります。
実際写真でもその様子が確認できます。
下記は頭をギリギリ壁に合わせて足を伸ばした状態です。
現行だと167センチの筆者でさせつま先がほぼ前の壁に付きます(ただし、横幅が広いので斜めの角度であれば身長が高くても水平になれる)。

FXバージョンは奥行きにとても余裕がある上に、横幅も広いので結構な改善となりました。

改良②:クッションが厚くなったので座り心地が良い
従来のバージョンだと、座席がとても薄いです。
シートサポートも無に等しく、板みたいに背もたれが見事な平らなので座り心地が良いとは言い難い。

FXバージョンはリクライニングはできないものの、背もたれ部分では腰を包んでくれるような丸い形をしているので体がフィットするように作られています。
座り心地は新シートの方が格段に良いです。

改良③:座席周りの収納スペースが増えた
初代バージョンでは収納スペースは細いサイドテーブルに備え付けられているボックスのみで、小さなカバンや靴さえ収納できる場所が無かったですが、今回は改善されました。

↑分かりにくいですが、従来バージョンだと足置き場の下は壁になっていて、靴が既に当たっている状態なので一切ものを置く事が不可能です。
FXバージョンでは座席脇に収納ボックスが用意され、足置き場の下が空きスペースとなるのでそこに靴やカバンを常時置く事が出来る様になりました。

また、サイドテーブルのボックス内は以前は装着されていなかったヘッドフォン用のフックがあるので、掛けやすくなりました。

その他
・リクライニング機能を省く事でよりスペースの効率化が生まれる
これを見てください。

現在のビジネスクラス座席は一般的にボックススタイルになっていますが、リクライニングをすると座席自体が前にスライドするため、背もたれと後ろの壁の間に無駄な空間が生まれます。
フルフラットになればそこは解消されますが、リクライニングをしている最中は若干圧迫感を感じやすいのです。
背もたれが固定される事によって、手動でレッグレストを上げるだけでフルフラットベッドになるので常にスペースが広い状態を保つ事ができます。
・リクライニング不可シートのデメリット
2点考えられます。
①座席の角度を調整した方が一番快適と感じる方にとっては物足りないでしょう。
②お尻を置く部分に、フラット時には頭を乗っける形となるので神経質な方は気になるかもしれません。
ただし、長距離路線ではマットレスが提供されるので、直に頭を座席に付ける事はありません。
・横幅は従来バージョンよりは狭くなるがそれでもかなりゆったり!
従来バージョンは悪く言って、横幅が無駄に広かった・・・

従来バージョンが搭載されているボーイング777と比較すると787では機体の幅が狭くなるので、同じ1−2−1配列だと新バージョンは大人1名が座って、横に乳幼児を「置く」事ができる程の広さになります。


・幼い子連れに超やさしいレイアウト!
従来のTHE Room同様、今回も座席幅がそこそこあるので大人の横に小さな子供を脇に座らせる事ができます。
同席させなくても、真ん中2席のディバイダーを下げればお互いの距離は近いので世話がしやすいです。

現行同社同機材のANAビジネススタッガードとの比較
この記事では初代のTHE Roomとの比較をメインにしましたが、現行のANAビジネススタッガードと比べるとどうでしょうか。
もう・・・レベルが違うので、比較は控えますね(笑)。

すごいサプライズが更にあります。
実は新機材は、旧機材と比較するとエコノミークラスが一列少ないだけで、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーの座席数は全く変わらないのです!
しかもプレエコは従来より2インチ広いので、事実上、ビジネスクラスの旧シートと新シートは機内の専有スペースがほぼ同じ計算です。
技術ってすごい!!
冒頭にも触れた通り、シートを前向きと後ろ向きで交互にする事と、座席のリクライニング機能を無くす事でスペースを効率活用できるため、THE Room FXは無駄を完璧に省いたレイアウトと言っても過言では無いでしょう。
JALの同機材との比較
JALのボーイング787-9には2種類のシートが搭載されています。
元祖Sky Suite Iは隣人との距離が近いですが、足はボックスに収まらなくても良い、無制限に動かせるシートなのでこれはこれでメリットはあります。

問題はSky Suite III。
こちらは圧迫感があり、他者の同スタイルであるリバースボーン型と比較しても足元が狭いため筆者のワーストビジネスクラス座席のランキング入りをしています。
幸い、ANAがTHE Room FXを導入すれば全く同じ土俵では敵わないためか、JALもSky Suite III搭載機材の刷新を発表しました。

まとめ
オリジナリティー溢れるANAのTHE Room FXは今まで体験してきたビジネスクラスの中でカタール航空のQスイートに並ぶトップレベルの快適性を実感できました。
リクライニング機能を排除した事で広さが強調され、初代バージョンで課題だった3つの欠点が改善される様になりました。
一言でまとめると「シンプル・イズ・ベスト」です。






