インターネット時代の今、航空券はわざわざ旅行会社や航空会社の事務所へ出向く必要は無く、オンラインで発券が出来る様になって大変便利になりました。
もちろん、我々旅行会社的の立場としては、できるだけ皆様が旅行会社で航空券を発券頂いた方が嬉しいですが、便利さには逆らえないですね。
そこで、同じ航空券でも、オンラインで手配する場合と、旅行会社で手配する場合を比較してみたいと思います。旅行会社で手配する場合のメリットだけ触れても不公平なので、最後にデメリットも触れたいと思います。
その前に、「オンライン」と「旅行会社」の定義を明確にしたいと思います。
オンライン:インターネットの総合航空券自動発券サイト(通称OTA)や、航空会社のホームページ
旅行会社:従来のシステムで担当者が居て、その担当者がチケットの予約・発券を行う
☆航空券を旅行会社で手配する場合のメリット・デメリット☆
<メリットその一:幅広いオプションから案内をできる>
旅行会社はプロ(でなければいけません)。例えば、ポイントAからポイントBへ、どの様なルートがあり、直行便が良いのか、それとも良い航空会社に乗るために経由便にするか、どの様に費用を節約ができるのか、マイルは貯める事が出来るのか、等、コンサル的に一個人では調べるのが大変な仕事を引き受けます。旅行会社では、個人では持つことのできないGDS(Global Distribution System)と言うシステムを持ち、これ一つで世界中の航空会社の予約状況や実際の予約・発券、そして航空の情報をコードで打ち込んですぐに調べる事ができます。
また、通常のオンライン航空券予約サイトだと限られるフライトの組み合わせ(場合によっては同じ航空会社・ルートでも便が多い場合には何百パターンと言ったオプションがあり、ここまで幅広くなると普通のオンライン予約サイトではすべて多すぎて表示できません)が無かったり、GDSのお陰でかゆいところまで手が届きます。
例としては、経由便で乗り継ぎ場所のシンガポールに滞在したいけど、24時間以上居るとストップオーバー代が掛かって高くなるから24時間以内でマックスに楽しみたい、と言う場合、シンガポール到着が朝9時だとしたら、すぐに次の早い乗り継ぎフライトを案内せず、翌朝ぎりぎりに出発する8時のフライトをアレンジする事ができます。この様な事は航空会社によってはオンラインでも可能ですが、旅行会社の方がマニュアル予約なので確実です。
<メリットその二:同じ座席でも特定の予約クラスを予約する>
オンラインでここまで細かくできるのは僕の知る中ではありません。航空会社のサイトだと、日付変更不可の料金、可の料金等、条件によって料金を別々に表示する事がありますが、すべての予約クラスは現れません。
同じエコノミーでも、場合によっては十数個と言う予約クラスに一つのフライトで分かれている場合があります。これをご覧下さい。JALのデリー→成田便の予約クラスです。
ビジネスクラス:5(C、J、D、X、I)
プレミアムエコノミー:2(W、E)
エコノミー:12(Y、B、H、K、M、L、V、S、N、Q、O、G)
それぞれ、条件が異なり、条件が厳しい程安くなります。また、料金が安くなるにつれて、マイルの貯蓄率も少なくなり、多くは全く貯まらない場合が多いです。ここで、行きはガッツリマイルを貯めたいけど、帰りはいいや、と言うお客様のわがままを旅行会社だったら聞いてあげる事ができます。マイルの貯蓄率も、100%、70%、50%、30%、0%と細かく分かれる場合があるので、ここまで詳しく案内できるのは旅行会社の醍醐味だと思います。もちろん、航空会社の事務所へ問い合わせしても良いと思いますが、マイレージに関してはあくまで自社のみしか関係が無いので、他社のマイルに貯める時になるとあまり知らないでしょう(例えば、JALを乗るけどポイントを貯めたいのがキャセイだと言う場合)。
もう一つの例で言いますと、今年の5月僕はオーストリア航空で日本行きを予約しました。利用クラスはビジネスクラス。オーストリア航空のビジネスクラスには、料金の安い順にJ、C、D、Z、Pとあります。それぞれ僕の加算したい先のマイルの加算率が異なり、Jは200%、C、D、Zは150%、Pは70%です。150%で選びたかったので、一番安い150%貯まる予約クラスですとZです。
しかし、オーストリア航空のホームページで見ると、3つしか分かれていなく、完全にフレキシブルの料金(J)、セミ・フレキシブルの料金(D)、条件の厳しい料金(P)しか無いじゃないですか!150%貯めたいけど、Dだと高く付く。だから、この場合うちで使用しているGDSにてZで予約しました。
<メリットその三:行きと帰りでクラスを分ける>
この「クラス」と言うのは、<メリットその二>で説明した「予約クラス」では無く、シートの事です。例えば、行きエコノミー、帰りはビジネスにしたい、と言う時。僕も色々なオンライン予約サイトや航空会社のホームページを確認しましたが、これが出来ているのはエミレーツ航空のみと理解しています。往復ビジネスクラスだと高すぎる。でも、帰りは楽に帰りたいし、エコノミーよりはちょっとプラスできる、と言う場合にはMr. 旅行会社です!(もしくは、オンラインでは検索し難いですが航空会社の事務所ではこれは可能です。)
<メリットその四:仮予約ができる>
これ、僕は旅行会社で航空券を手配する一番のメリットだと思います(なのでハイライトしました)。オンラインだと、基本仮予約ができず、その場で決めなければいけないか、もし航空会社のホームページだと24時間から72時間追加料金で保持する事が可能ですが、それ以上は厳しいですね。旅行会社だと、GDSでは予約は保持できるので、これはかなり心強いです。仮予約を保持できる期間は航空会社や利用するクラスによって異なりますが、例えばインド発ANAの場合だと1ヶ月以上前の予約だと1週間から2週間は保持できます。
飛行機の予約クラスは先ほど申した様に沢山分かれていて、安い座席の順に早く埋まっていきます。例えば、ANAで日本へ帰りたい。日付は大体決まっているのだけど、まだ確定では無い。でも、もう安い座席は残りわずか。今購入しても良いけど、万が一それで旅行できなかった場合、キャンセル料を払いたくない。でも、安い座席が無くなってしまうのも悔しい。ここで、旅行会社の役目です。H2トラベルズは、現在無料でこのサービスは提供させて頂いております(誰も悪用されない限りw)。ちなみに、LCCは仮予約ができません。
この仮予約、例えば仮予約中に逆にもっと安い予約クラスにキャンセルの空席が出て、安く上がった、と言う場合も多々あります。
<メリットその五:クレジットカードのリスク>
結構聞くのが、オンラインで購入した時何かしらのエラーでカードからお金は引かれたけど、航空券は発券されなかった、とか二重にお金が引かれた、とかです。僕もこれ経験があります。とある航空会社のサイトで有料の座席指定する時、金だけひかれたけどエラー画面が現れた事。トライしすぎて、払い過ぎてしまいました。結局、航空会社に何度も何度も電話して、まずは座席の確保(ここまではOK)と返金手続き(これが時間掛かった)。正直、これはストレスでした。旅行会社だと、この様なリスクは担当者に言えば一発です。
<メリットその六:キャンセル手続きのリスク>
上記「その五」に共通する事ですが、航空会社によっては返金に凄く時間を要したり、キャンセルをリクエストしても中々返金が来ない、と言う話も聞きます。もし、信用されている旅行会社の担当者が居れば、ここはあまり心配がありませんね。
さぁ、旅行会社である以上、メリットをなるべく多く記載しましたが(笑)、良い点ばかりではない事も事実です。デメリットも触れます。
<デメリットその一:旅行会社だと料金が高くつく場合がある>
昔と違い、今ではエアラインからのキックバックはとても利率が低く、場合によっては0%、更には、旅行会社へ対して手数料を掛ける航空会社もあります(と言うのは、GDSの使用料として航空会社は払っているから、その分に対してと言う意味です)。基本的に、多くの航空会社が「自社のホームページで購入するのが一番安い」と言う保証まで付けてしまっています。人件費削減のためにディスカウントですね。
そのため、旅行会社で購入する方がはっきり言うと手数料を載せてしまうため高くなってしまうのが現状です。昔は「格安航空券」と言うのがありましたが、今は一般的ではありません。ほとんどが、航空会社も直接販売する「正規割引運賃」と言うものです。たまに、航空会社が旅行会社向けの安い限定料金を提供するのでお客様へも通常より安くご提供できる場合がありますが、この様な航空券は大変稀です。
<デメリットその二:支払いが面倒くさい場合がある>
旅行会社によってはオンラインで楽に決済ができる場合がありますが、我々の様な小さな旅行会社ですと銀行送金をお願いしたり、チェックの郵送やわざわざ事務所にご足労頂いてカード決済をお願いするパターンになります。
なので、ここで、どの様な客が旅行会社での航空券購入に向いているか、そしてどの様な客がオンラインで購入するのに向いているかを検証します。
☆旅行会社で購入するのに向いている客☆
○ルートや料金比較、航空会社のサービスや評価等の相談をしたい方。
○マイルの貯蓄率を気にし、オンラインでは希望の予約クラスが予約できない方。
○行きエコノミー、帰りビジネス等クラスを往復で分けて手配したい方。
○仮予約で予約をしばらく保持したい方。
○オンライン決済でリスクを取りたくない方。
○キャンセル手続きにあまり面倒を掛けたくない方。
☆便利な航空券オンライン予約サイトや航空会社のホームページで購入するのに向いている客☆
○日付が確定して、単純往復等特に相談の要らないチケット手配をする方。
○極力値段の安さを求める方。
○航空券の知識はあり、すべてオンラインで解決できる方。
です。