個人的には、ビジネスクラスに乗る醍醐味はエコノミークラスと比較してワンランク上の食事を楽しめる事です。
ANAのビジネスクラス機内食は遅めの午前〜早めの夜出発の中距離路線以上のフライトであれば、豪勢なフルコース系の昼食・夕食を楽しめますが、深夜出発のフライトに関しては例え長距離であっても、内容がしょぼい事を以前触れました。
以前の深夜出発便は離陸後しっかりとした食事が提供されず、到着前までラーメンやサンドイッチ等の軽食を選べるのみ。
到着前に提供される食事もワントレイサービスで2種類しか選択ができず、エコノミーに近い内容と言っても過言では無いほどのレベルでした。
最近やっと改善点が若干見られるようにはなりましたが、依然フライトによって食事内容が平等ではありません。
今回で触れる長距離深夜便は以下のフライトを指します。
<羽田深夜発長距離便の離陸後の食事>
便名 | 路線 | 出発時刻※ | 食事タイプ |
NH 126 | 羽田→ロサンゼルス | 21:05 | フルコース |
NH 118 | 羽田→シアトル | 21:15 | フルコース |
NH 203 | 羽田→フランクフルト | 21:40 | 夜食 |
NH 116 | 羽田→バンクーバー | 21:55 | フルコース |
NH 879 | 羽田→シドニー | 22:45 | 夜食 |
NH 160 | 羽田→ニューヨーク | 22:45 | 夜食 |
NH 205 | 羽田→ウィーン | 22:45 | 夜食 |
NH 217 | 羽田→ミュンヘン | 22:55 | 夜食 |
NH 108 | 羽田→サンフランシスコ | 22:55 | なし |
NH 106 | 羽田→ロサンゼルス | 00:30 | なし |
<現地深夜発長距離便の離陸後の食事>
便名 | 路線 | 出発時刻※ | 食事タイプ |
NH 224 | フランクフルト→羽田 | 20:45 | フルコース |
NH 882 | パース→成田 | 21:45 | 夜食 |
NH 880 | シドニー→羽田 | 21:45 | 夜食 |
NH 105 | ロサンゼルス→羽田 | 00:50 | なし |
NH 179 | メキシコシティー→成田 | 01:00 | 夜食 |
NH 107 | サンフランシスコ→羽田 | 01:20 | なし |
NH 159 | ニューヨーク→羽田 | 02:00 | 夜食 |
※2024年10月中旬のスケジュール
①離陸後の食事:「何も無い」から夜食の提供へ
まずは改善点を確認してみましょう。
以前は離陸後の食事はフルコース形式か、何も提供しない(いつでもメニューからリクエストベースで軽食をオーダーする形式のみ)の二択に両極端分かれていました。
最近、新しいコンセプトとして離陸直後に夜食が提供される様になった事を最近確認できる様になりました。
あ、「夜食」と言う呼び方はすしまる独自の判断なのでご了承下さい。
ワントレイのサービスで前菜、メイン、デザートが載せられて提供されます。
イメージとしては日本⇄中国本土・台湾・香港・フィリピン等の短距離路線で提供されるスタイルの機内食が近いです。
※写真は羽田→香港線の和食です。
カツ丼、ラーメンやサンドイッチ等の軽食だけだと物足りないので、このぐらいしっかり提供されればフルコーススタイルには劣るものの早く寝付く事もできるし満足できるでしょう。
<フルコースと夜食は何が違う?>
参考として、日中便と深夜便の両方がある羽田→ニューヨーク便の離陸後の食事を比べてみましょう。
まずは羽田11:00発のNH 110便のフルコース形式機内食。
次に羽田22:45発のNH 160便夜食メニュー。
上記の違いを纏めると:
<和食の違い>
コース | フルコース | 夜食 |
アミューズ | ◯ | × |
前菜 | ◯ | ◯ |
小鉢の数 | 2 | 1 |
主菜の種類 | 1 | 1 |
デザートの種類 | 3 | 0※ |
※アイスクリーム、チーズ各種、フルーツは軽食メニューにあり
<洋食の違い>
コース | フルコース | 夜食 |
アミューズ | ◯ | × |
アペタイザー | ◯ | ◯ |
メインディッシュの種類 | 2 | 1 |
ブレッドの種類 | 3 | 2 |
デザートの種類 | 3 | 1※ |
※アイスクリーム、チーズ各種、フルーツは軽食メニューにあり
②到着前の朝食:3種類目の「コンチネンタルブレックファスト」が追加されたけど・・・
長距離路線で早朝に目的地に到着するフライトの一部では、2回目の食事として「コンチネンタルブレックファスト」が和食・洋食の他に追加で提供される様になりました。
以下、羽田→ヨーロッパ線の深夜便朝食メニュー。
3種類に増えたところで、全体的に依然として寂しい内容ではあります。
和食は良さそうですが、洋食はフリッタータとフルーツとパンのみ?ヨーグルトやハムやチーズは無いの?
コンチネンタルブレックファストとして追加された「ポークハムとチーズのコンビネーション」は洋食の副菜として提供されるのもありかと。
今まで乗った航空会社の洋朝食で、エコノミーでさえヨーグルトがつかないのはあまり無い事なので、最低限そこは追加した方が良いのかなぁ。
③羽田⇄サンフランシスコ・ロサンゼルス便は改善無し
残念ながら、上記の様な夜食が追加される等の改善はサンフランシスコ・ロサンゼルス便には適応されません。
こちらの深夜出発の2路線は相変わらず離陸後は軽食のみ、到着前に簡素な朝食もどきが提供される程度です。
距離がもっと短い羽田⇄シドニー路線では夜食が提供されるで、何かつじつまが合いません(こちらは到着前の食事はありませんが、少なくても西海岸2路線の到着前の食事よりは夜食で充実しています)。
④JALは安定した提供方法
ANAと比較するとJALは深夜出発便の長距離路線が少ないですが、調べると以下が確認できます。
便名 | 路線 | 出発時刻※ | 食事タイプ |
JL 59 | 羽田→ドーハ | 22:50 | フルコース |
JL 41 | 羽田→ロンドン | 00:20 | フルコース |
JL 3 | ニューヨーク→羽田 | 01:30 | フルコース |
※2024年10月中旬のスケジュール
JALは素晴らしい!
例え到着時間が早朝だろうと、ビジネスクラスでは深夜便全てしっかりフルコース料理を提供します。
上記3便全て共通しているのは、離陸後はアラカルトのセットメニュー(ANAの夜食や到着前の食事の様なもの)と軽食をいつでも注文できて、離陸してから8時間前後に、フルコースメニューが提供されるやり方。
シンプルで分かりやすいです。
⑤乗客の体内時計は様々なので一律化した方がメリット大きいのでは?
現在日系航空会社の利用者は外国籍の方が増えています。
単純に成田や羽田を出発地・到着地として扱うのでは無く、中継地点としてトランジット利用者がとても多いので乗客は皆別の体内時計を保持しています。
例え深夜に出発したとしても人によっては体内時計は昼の可能性だってあります。
なのでJALの様に出発時間に関係なく、一律した提供内容をした方が不公平感が無くなるし、クルーも仕事を覚えやすいし、メニューの準備も簡素化されるのでコスト削減にもなるのでは?
まとめ
JALと異なり、ANAは深夜出発便というだけで長距離路線では大幅に食事内容の違いが見られます。素晴らしい自慢のフルコースを堪能する事ができません。そればかりか、路線によっては未だにビジネスクラスに相応しくない簡素な食事のみ。とても複雑になっているので、出発時間に関係無く公平化される検討をしても良いのでは無いでしょうか。
追伸:この記事を読まれているANAの該当関係者さん、是非このすしまるを機内食部門コンサルタントとして雇って頂くのは如何でしょうか?昔からANAのファンですし、様々な航空会社に乗っているので結構な貴重なアドバイスができると思います・・・と言うのは自信過剰すぎ?