日本を代表するライバル同士の長距離最新鋭機材のビジネスクラス座席を検証!
比較対象は2019年に導入されたANAのTHE Room(以降ANA)と、2024年に運行開始したJALのA350-1000(以降JAL)です。
ぶっちゃけどちらが快適?
結論から言うと、全体的にはJALの方が優位ですが、体の大きさと身長、そして各状況によってはANAの方が優位な場合もあります。
詳しく7つの分野で検証していきましょう。
今回の記事はあくまで座席の快適性のみで判断するので、各社が提供するマットレスや枕等の追加アメニティーは基準に含めません。
ANAとJALの一番大きな違いは横幅と奥行き
快適性は体の大きさと身長が関係すると言うのは、ここにあります。
ANAは横幅が超広いけど奥行きが短い、JALは横幅はまぁまぁだけど奥行きが長い、と対照的になっています。
①横幅:ANAが優位
THE Roomはビジネスクラスとしては座席幅が業界最大級。
普通に大人が2名横並びで座れます。
体が大きい方にとっては、ANAの方が快適でしょう。
JALは決して横幅が狭い訳ではありませんが、広いとも感じません。
それよりも窓際を中心にアームレストが設置されていない箇所があるので、肘を休める場所が無くて気になりやすいです。


②奥行き:JALが優位
ANAは奥行きがそこまで長く無いです。
身長が167cmと日本人の成人男性の平均身長より低い場合でさえ、フルフラットになって寝る際に足置き場の壁にピッタリくっつきます。
170cmを超える場合は、座席に対して直線では無く、体を斜めにして寝る必要があります。
JALは公式発表でベッドの長さが198cmとなっているので、ANAよりも大分広いです。
ANAのホームページではベッドの長さを公表していません。


③座り心地:JALが優位
ANAは狭い足元を極限に有効活用するためか、シートが薄くて硬めです。
JALは座席が厚く、クッション性も良いので座り心地はこちらの方が良いです。


④プライバシー性:JALが優位
ANAの場合、ドアを完全に閉めようとしても、若干隙間があります。
また、個室にするにはドアとは別に脇から別のシールド(プライバシースクリーン)も下から上げる必要があるので、少々面倒臭いです。
JALはドア一つで隙間無しに閉まりますし、壁の高さもしっかりあってより個室感が高いです。


⑤座席周りの収納スペース:JALが優位
ANAの最大の弱点は、座席周りの収納スペースがほぼ無である事。
足置き場の下はすぐに壁になっているので何も置けないし、唯一あるのはテレビの横の小さいボックスのみ。
靴を置く場所さえ、ありません。
このボックスも本が置ける程の薄さの上に縦長で中途半端なスペースだし、扉の裏側に付いている網の中に貴重品を収納するぐらいしかできません。
なので基本的に全ての手荷物は棚上のロッカーにしまう必要があります。

↑写真だと分かりにくいですが、靴があたっている場所は壁になっているので足置き場の下には一切ものを置けません。

JALは優秀です。
ANAの弱点を思いっきり攻めてやるぞ!みたいな意図が伝わってきそうです(笑)。
まずは座席脇の収納ボックスは小物を入れるのにちょうど良いスペース。
奥行きもあります。

ビジネスクラスでは初めて見た!
なんと扉付きのシューズラックまで用意されています!

その上はワードローブまで付いています。
寝る時に着替えする際はこれは凄く便利です。

そして足置き場の下には十分なスペースの鞄置き場。
いや、本当にここまでの収納スペースをビジネスクラスで確保できるなんて素晴らしいです。
今まで乗った航空会社で一番充実しています。

⑥空調:ANAが優位
ANAは調整が可能な空気孔が各座席に設置されています。
暑がりの人にとってはこれで体温が調整ができるので、非常に助かります。
残念ながら、JALはこれが付いていません。


⑦小さなお子様連れ:ANAが優位
ビジネスクラスで小さな子供連れで搭乗する際に最も気になる点は、機内で世話をし易いかどうか。
ANAであれば問題ありません。
真ん中のカップル席は、仕切りが設置されているものお互いの手の届く距離だし、シート自体がとても広いので自分の座席に一緒に座って面倒を見る事ができます。
JALは全席適度に距離が離れているので、子供の世話をするには厳しそうなレイアウトです。


まとめ
ANAのTHE Roomの方がJALのA350-1000よりも5年早くデビューしているので、そこは年月のハンディキャップは考慮すべきかもしれません。
ANAの方がオリジナリティがあって座席幅のインパクトは大きいですが、横を広くするにあたって奥行きが狭くなり、収納スペースがとても限られています。
その反面JALは全体的にとてもバランスが良く、デザイン性に優れていますが、空気孔が設置されていないのは残念です。
ANAが適している場合:体が大きめの方、身長が低い方、小さいお子様連れの方、暑がりの方
JALが適している場合:上記以外





