国交のある隣同士の大国にフライトが無い実例

世界には、お互い長い国境線を共有していても両国の間で定期的なフライトが全く無い場合があります。

国交があったとしても。

日本より面積の広い国々が隣同士でも、旅客機による定期便が無い3つの事例を紹介していきます。

①インドとパキスタン

これは代表的な例。

14億人と、2.3億人の大国同士。両方合計すると全世界人口の約5分の1でもあるのに、お互い全く定期便が運航しない!

両国にそれぞれの大使館が設置されていますが、領土問題を抱えているためしばしばお互いの大使が自国へ戻されるという事があったり、相手国の民間航空機に対して空域を閉じてしまう事が何度かあったりと決して関係は健全から程遠い。

同じ言語を話し、民族的にも両国は共通するものが多いのに。

<2019年までプロペラ機による定期便はあった>

最後の定期便はデリー(DEL)⇄ラホール(LHE)便。パキスタン国際航空が、2019年10月まで週2便をプロペラ機であるATR-42機で運航していました!

お互い人口1,000万人を超える大都市で距離も東京・大阪間とほぼ一緒で近いのに、異質すぎる!!!

以前は、パキスタン国際航空が2017年5月までカラチ(KHI)⇄ムンバイ(BOM)間を運航していたし、30年前はジャンボ機のボーイング747機をカラチ⇄デリー間で飛ばしていた時代もあった。

インドの航空会社では、旧インディアンエアラインズ(後にエアインディアに統合)がムンバイ(BOM)⇄カラチ(KHI)を90年代まで運航していました。

以前のインド⇄パキスタン路線航路
以前のインド⇄パキスタン路線航路※

※提供:gcmap.com

インドは現在ヒンドゥー至上主義政権が力を握っており、パキスタンの国家宗教であるイスラーム教に対してとても闘争的な部分も否定できないので、改善までは時間がかかる可能性が高い。

どれも日本の国内線レベルの短距離フライトであるはずなのに、正に近くて遠い国。

<領土問題を抱える中国は徐々に路線復活方向へ>

同じくインドが国境問題を抱える中国とは、紛争が繰り返されても経済的にはとても関係が強くなっている。

コロナ禍が明けてインド最大の航空会社インディゴが早速、デリー⇄成都コルカタ⇄広州の2路線を早期に復活させる旨を公にしている。

パンデミック直前まで中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、エアインディア、スパイスジェット、インディゴがインド各地と中国各地を網のように結んでいました。

積極的に中国路線を復活させるインディゴ
積極的に中国路線を復活させるインディゴ

インドの航空会社はパキスタンへの新規就航は全く興味無いみたいです。

パキスタンは経済危機を迎えている上にインドとの貿易が小さいので、インドにとって需要は低いのかもしれません。

経済的に依存をしてしまっている中国とは正反対に。

<インドとパキスタンの間を飛ぶのであれば中東・スリランカ経由が一般的>

本来なら飛行時間が1時間も無いデリー⇄ラホール

今では、ドバイやアブダビ、ドーハを経由して行かなければならないので、飛行時間だけでも7〜8時間前後、そして途中の中継地でトランジット時間が別途かかります。

安いオプションだと東南アジアを経由しなければならない!

運賃も高額!

デリー→ラホール片道検索
デリー→ラホール片道検索

この日の最安値は、バハレーン(中東)経由か、コロンボ(スリランカ)経由か、クアラルンプール(マレーシア!)経由。どれも乗継時間が長く、まる1日かかります。

乗継時間の短いエミレーツやカタール航空はもっと高額!

幸い、ラホール郊外に位置する印パ国境のワーガーは唯一外国人でも行き来ができるので、インド国内線で最寄りの大都市アムリトサルまで飛び、そこから陸路で横断した方が早いし大分安上がり。

②モロッコとアルジェリア

同じ言語であるマグレブ訛りのアラビア語を話し、元フランスの植民地だった国々。

一応国交はあり、両国に大使館は設置されていますが、実際はとても政治的にあまり良好な関係には無い。

その理由は、モロッコが領有権を主張している、後からスペインより独立した西サハラのポリサリオと呼ばれる反政府勢力をアルジェリアが堂々と支援し、モロッコの領土として認めていないため。

西サハラが発端の両国関係
西サハラが発端の両国関係

<両国の飛行機移動はチュニジアかヨーロッパ経由>

全く反対方向であるチュニジアを経由するか、一度北上してヨーロッパを経由するかのオプションのみ。

印パ国境と異なり、1994年以降、両国の国境は完全に閉鎖され、物資さえ行き来できない状況。

そのため、両国間の移動は飛行機の手段のみになってしまいます。

カサブランカ→アルジェの片道検索
カサブランカ→アルジェの片道検索

この日の最安値はチュニジアのチュニス経由。乗継時間は8時間近くもあるので、合計は12時間近くかかります。

直行便があれば2時間程の距離なのに。

エールフランスのパリ経由で乗継最短ですが、それでも7時間かかりますね。

③インドネシアとパプアニューギニア

ニューギニア島を真っ二つに長い国境線を共有するインドネシアとパプアニューギニア。

インドネシアは人口2.7億と大国にも関わらず、お隣人口1,000万弱のパプアニューギニアへは定期便が運航していません。

両国は2023年に首脳会談も行ったばかりで関係は良好とも言えます。

この場合、お互い離れた首都と、民族や文化の違いがあまり活発な交流に繋がっていない可能性があります。

なんせ、インドネシアの首都ジャカルタとパプアニューギニアの首都、ポートモレスビーは4,500キロ弱も離れており、東京・バンコク間の距離と同じぐらい。

お互いとても離れた首都
お互いとても離れた首都※

もし両国間を移動するのであれば、オーストラリアかフィリピンを経由するのがベスト。

ジャカルタ→ポートモレスビー片道検索
ジャカルタ→ポートモレスビー片道検索

※提供:gcmap.com

陸路は唯一、インドネシアの最東端であるジャヤプラから国境を超える事は可能だが、それ以外このニューギニア島には道路が全く建設されていなくて大都市以外はほぼ密林地帯という謎に満ちた地域!

まとめ

今や世界中どこでも結べる飛行ルート。その中で、国交の無い場合を除き、隣国と定期便が無い事例はとても稀な時代になりました。特に大国の場合。フライトのスケジュール検索をすると、両国間の関係やお互いの需要度が理解できてくるので、結構参考になります。

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