2021年1月、約3年半続いた周辺諸国による対カタール経済封鎖が解除され、この間就航がゼロだった近隣都市から首都ドーハを結ぶフライトが復活しました。
詳しい背景は2021年1月の記事をご参考下さい:
2021年10月〜2022年3月には中東初のドバイ万博が開催され、そして2022年11月〜12月には忘れられないこれまた中東初のFIFAワールドカップがカタールで開催されるという、世界から注目されるイベントが重なりました。
制裁を実行した隣国のUAE(ドバイはUAEの一部)、バハレーン、サウジアラビアとの国交は改善しているので、さぞ以前の様に航路も復活しているだろう、と期待してしまいます。
実際、2023年6月時点では既に多くの都市には以前の様に就航が復活していますが、この中でも極端にまだ本数が少ないのがドバイ⇄ドーハ間。
この記事では、3つの謎を解説します。
①フライトが少なすぎる!
<制裁前は平均1時間に1便以上運行していた>
制裁前、ドバイ⇄ドーハ間は世界有数の需要があるルートでした。
1日あたりの平均フライトは33便!その中で、巨大なA380も運行していました。
※gcmap.comにて作成
距離は376キロなので羽田⇄伊丹とほぼ一緒。
Simple Flyingによると、この路線の乗客の54%は乗継目的では無く、両都市間の移動だけの需要があったとの事。
特に、ドバイで過ごすカタール人の観光客がとても多かった様です。
<現在は1日6便のみ>
2023年6月時点、カタール航空が1日3便、フライドバイが1日3便の計6便が運行するのみ。
制裁前にA380や777等大型機材をガンガン導入していたエミレーツはまだ復活していません。
<他の路線の方が本数が多い??>
同じUAE路線でも、カタール航空は首都アブダビへ毎日5便、シャルジャへ毎日4便を運行させているし、エティハドとエアアラビアも同じく毎日4本づつそれぞれの都市とドーハを結んでほぼ制裁前のスケジュールを復活させているので、何故地域内随一の都市ドバイだけ極端に需要が少ないというのはなかなか信じ難い。
UAEは各首長国がある程度自治権があるので、どうしてもドバイ政府とカタール政府の間に何かあるかとしか考えられない。
②カタール航空のドバイ線スケジュールが偏っている
唯一運行している3便の内、2便は全く同じ時間帯の発着。
現在のカタール航空のドーハ⇄ドバイ間スケジュール
QR 1002 | ドーハ(00:55発)→ドバイ(03:15着) |
QR 1014 | ドーハ(18:35発)→ドバイ(20:55着) |
QR 1018 | ドーハ(18:35発)→ドバイ(20:55着) |
QR 1003 | ドバイ(05:30発)→ドーハ(05:50着) |
QR 1019 | ドバイ(23:30発)→ドーハ(23:50着) |
QR 1015 | ドバイ(23:55発)→ドーハ(翌00:20着) |
このスケジュールはドーハで乗り継ぎがしやすい様に設定されていますが、なぜQR 1014/1018便とQR 1019/1015便が同じ時間帯になっているかは謎です。
例えば、同じUAE路線でもアブダビはこの様に1日あたり均等なスケジュールになっている。
QR 1040 | ドーハ(02:15発)→アブダビ(04:25着) |
QR 1044 | ドーハ(08:15発)→アブダビ(10:25着) |
QR 1050 | ドーハ(14:05発)→アブダビ(16:15着) |
QR 1052 | ドーハ(19:05発)→アブダビ(21:15着) |
QR 1054 | ドーハ(22:10発)→アブダビ(翌00:20着) |
QR 1055 | アブダビ(01:50発)→ドーハ(01:55着) |
QR 1041 | アブダビ(05:55発)→ドーハ(06:00着) |
QR 1045 | アブダビ(11:55発)→ドーハ(12:00着) |
QR 1051 | アブダビ(17:45発)→ドーハ(17:50着) |
QR 1053 | アブダビ(22:45発)→ドーハ(22:50着) |
シャルジャ路線もアブダビ路線と同様にスケジュールは均等になっています。
③カタール航空のドバイ発運賃が鬼の様に高い
ドバイ、シャルジャ、アブダビからのカタール航空の運賃を比較してみましょう。
1時間足らずのフライトでエコノミー片道13万円弱・・・あり得ない!
確かに、日付をずらせば、直近であればもっと安いのはあるけど、カレンダー検索だとこの通り殆どの日付でこの10万円越えが最安値。
ドバイのお隣シャルジャの出発だと大分料金や安くなる。
因みに、ドバイ空港とシャルジャ空港はわずか車で30分ぐらいの距離。
世界で一番近い国際空港とも言われています。
片道3万円弱まで下がる。それでも安く無いけど、ドバイ発よりは大分マシ!
ドバイ国際空港から車で約1時間ちょいの場所にあるアブダビ発だと更に安くなる。
うん、これなら可愛い。アブダビ発であればドバイ発の10分の1の金額。
やはりこれだけ運賃が高いという事はドバイ便の需要がある事を示唆している。
まとめ
カタールへの経済封鎖が終了して2年以上が経過しているのに、まだ何かがおかしいドバイ⇄ドーハ路線。ドバイは湾岸地域の中心的な大都市であるにも関わらず、カタール航空の本数の少なさやあのエミレーツでさえ運行を再開していない現実。同じUAE内でも首都アブダビやシャルジャは普通に復活しているのに。
謎です。