航空会社によって、エコノミークラスのシートピッチは異なります。
極端に狭いLCC系を始めとする航空会社から、JALやANAの様にとても足元にゆとりを設けているケースまで様々。
エコノミークラスのシートピッチは28〜34インチの間に分けられます。
ボーナスとして、プレミアムエコノミーも比較対象に追加してみました。
「基準」に関しては、筆者判断です。
基準 | シートピッチ(インチ/cm※) | 主な航空会社 |
狭い | 28″/71cm | LCCが多い;短距離路線用の単通路航空機材にはLCC以外でも導入されている場合がある |
29″/74cm | ||
30″/76cm | ||
標準 | 31″/79cm | 大多数のエアラインの長距離用機材に導入されている |
32″/81cm | ||
広い | 33″/84cm | JAL、ANA、大韓航空、アシアナ航空等ごく限られた一部の航空会社の中・長距離用機材のみ |
34″/86cm | ||
プレエコ | 38″/97cm | 一般的なプレミアムエコノミーのシートピッチ |
42″/107cm | JALのみ |
※cmはインチからの換算になり四捨五入しています。
上記9種類のシートピッチを全て検証していきましょう。
尚、下記は30インチの例で使用するインディゴ航空以外、全て各航空会社の公式情報です。
足元の狭い→広い順で確認します。
参考までに、筆者の身長は167cmです。
28インチの事例:エアアジアA320機(スタンダードシート)
現在、航空業界で最も狭いシートピッチがこの28インチ。
激狭です。
前方の座席がリクライニングしていなくても膝がもろにピッタリくっつきます。
殆んど身動きが取れません。
たった1時間の飛行時間でも、結構違和感あります。
29インチの事例:ビスタラ航空A320機
LCCでは無い、インドで活躍するシンガポール航空資本の航空会社、ビスタラ航空。
前方の座席がリクライニングしていない状態だと、ギリギリ僅かに膝が触れるぐらい。
2時間ぐらいまでならまだ耐えられるけど、それを超えるときついかなぁ、という印象。
ビスタラ航空ではこの機材は片道5時間を超える国際線にも使用されているけどね。
30インチの事例:インディゴ航空A320機
※インディゴ航空の公式ホームページにはシートピッチが公表されていないので、インド大手メディアIndia Timesの情報を参考にしています。
インド最大の航空会社でLCCでもある、インディゴ航空。
A320機は最も同社が保有する機材タイプで国際線にも活用しています。
30インチにもなると膝が前方の座席に付かず、指三本分ぐらいの余裕が出てきます。
狭いけど、まぁこれなら5時間ぐらいまでなら耐えられるかなぁ、という印象です。
31インチの事例:ターキッシュエアラインズ787-9機
31インチは欧米系航空会社(LCC以外)の中・長距離路線で最も一般的なシートピッチです。
印象は、「普通」だけど、やっぱりちょっと狭いかなぁ、と感じられるレベル。
前方の座席とはこぶしが一個分ぐらいの隙間があります。
横幅の狭さにもよりますが、長距離路線になると、8時間ぐらいが限界です。
32インチの事例:タイ国際航空777-300ER機
32インチにもなると、やっと少し快適だな、と思い始めるレベル。
アジア系の航空会社ではこのシートピッチが一般的です。
これぐらいあると、隣人が寝ている際に、通路に出る際にギリギリまたげるかなぁ、という感覚です。
この広さであれば、長時間のフライトでも違和感ありません。
33インチの事例:JAL787-9機
JALの国際線787に搭載されているスカイワイダーシートは、33インチのシートピッチを誇ります。
この辺りから、「お、かなり快適じゃん!」と感じられる広さです。
足元は結構余裕があり、航空券が少し高額だったとしても、価値があると判断できます。
33インチにもなると、ビスタラ航空のA320機ではプレミアムエコノミーの座席として扱われます。
34インチの事例:ANA777-300ER機
JALとANAの777-300ER機は両社ともエコノミークラスで業界最大級の34インチを提供!
ここまで広いと他社では「エキストラレッグルームシート」の様に名前を付けて追加料金を徴収ぐらいです(例:スクート)。
ここまでくると、「え、これマジでエコノミーの広さなの!?」と疑うぐらい、ゆったりと感じます。
本当に快適です。
(プレエコのボーナス)38インチの事例:シンガポール航空A350機
ここから先はプレミアムエコノミー。
38〜40インチは、殆んどの航空会社で採用されているプレエコのシートピッチです。
エコノミーより広いけど、まぁプレエコなんだし、これぐらいあっても良いのじゃないの?って印象ですね。
(プレエコのボーナス)42インチの事例:JAL777機
業界最大のプレエコのシートピッチは、JAL。
なんと、42インチもあり、ここまで広いと一昔前のビジネスクラスと同等です。
隣人の体が大きくなければ座席の前を通過できますし、他社の同クラスと比較しても確実に差が明確です。
シートピッチはどのサイトで調べれば良い?
LCCの台頭と同時にコストカット化が進む最近のフルサービスキャリアのエコノミークラスでは、過去と比較すると座席がどんどん狭くなっていく傾向があります。
そのため、多くのエアラインでは、自慢のシートピッチがない限り、あまり公表しません。
最も正確な情報はエアラインの公式ホームページですが、記載が無い場合に参考になるのはSeat Guruです。
決して100%正確では無い※けど、大体過去の経験からして当たっています。
※例えば、ANA777-300ER(最新のV4)のエコノミーシートピッチは31インチと記載されているけど、ANAの公式発表では34インチと情報が異なる場合があります。
シートピッチを判断する上での注意点
シートの厚さも関係します。
例えば、狭いシートピッチのLCCによく当てはまるのですが、座席の厚さを板みたいにスリムに薄くする代わりに、足元を広く見せかける手段があります。
確かに実際に足元が広くなるけど、その分腰や背中が疲労しやすいという事もありますが・・・
まとめ
同じエコノミークラスでも、28インチと34インチでどれだけ足元の広さに違いがあるのか、写真で明確になったと思います。30インチまでは狭い!と叫びたくなる感覚、31インチは標準、32インチあたりから、ゆったりしているなぁ、と感じ始め、日系二社が誇る34インチは国際基準としては超贅沢な広さです。