イスラム教の誤解

日本ではあまり馴染みの無い宗教、イスラム教。連日テロや戦争などで、多くの日本人又は世界中の人達にとってイスラムのイメージは良くありません。しかもその中で今では「イスラム国」なんて宗教の名前をハイジャックしてしまった集団のお蔭で更にイメージがマイナスです。

僕は若い頃から中東やイスラム文化にとても興味を持ち、勉強しました。また、エジプトにも留学していた事も短いながらもあり、普段の生活を見る事ができました。真の教えは素晴らしいと思いますし、イスラムとはアラビア語で「平和」を意味し、本当の教えは意味の通りです。

皆さんが誤解されている5点を説明していきたいと思います。

<誤解その一:イスラム教は女性を抑圧する>

実際にイスラム教徒の女性に聞いてみて下さい。抑圧されているなんて答えはほぼ無いはずです。イスラム教徒の多い国々では公共交通の座席では女性が優遇されますし、銀行や公共の場では女性専用のレーンが。結構女性の立場は高いと思います。

以前、アブダビ空港で、真っ黒な顔も隠すアバヤを着ていた女性が空港バスの中で、立っていました。別にお年寄りでも無いようす。近くで座っている男は当たり前の様に席を譲り、女性はありがとうも無しに当たり前の様に座りました。この光景を見て、抑圧なんて。。。と思いました。

イスラム教は、世界で最も最初に女性に対して寛容する様に教えた宗教だと言われています。イスラム教の聖者はモハメッドですが、当時のアラビアでは女性は抑圧され、女性は「男の持ち物」の様な扱いで何人でも妻を持って良いという風習が有ったようです。そこを、モハメッドは妻は4人まで、と言う規定を作り、4人まで妻を持っていても、あくまでそれぞれ公平に扱いをしなければいけないという部分まで足しています。現代世界で4人の奥さんOKなんてひどい、と言う風潮ですが、当時は戦いで男の人口が少なくなっている現象と言われている中で、人口バランスでもあったのでしょう。現在でもイスラム教の国々では4人妻OKの国もありますが、実際聞いてみると僕らと同じ1人妻が多いです。4人まで持てたとしても、法律で同じ様に公平な扱いをしなければいけない事と、経済的で無い事から、あまり現実的では無いようです。モハメッドは人間は母親から生まれる身として女性は尊敬しなければいけな立場である事を教えています。

<誤解その二:イスラム教徒の女性は強制的に頭や顔を隠される>

上記の点に一致していますが、強制的ではありません。彼女らは好んでヒジャーブと呼ばれるスカーフやブルカと呼ばれる顔を隠すベールを被るパターンが多いです。何故かと言うと、謹む服装によって異性の注目や性的欲望を向上させる様な事を控える。面白いのは、イスラム教徒の多いマレーシアやエジプトは昔はほとんどがその様な服を着る女性は少なかった様ですが、近年になって着ている方が増えました。これは別に原理主義になったのではなく、その様な服装を着る事によって安心感がある様。近年では、ヒジャーブのファッションショーがあったりと、お洒落化しています。

何故ムスリムの女性が他の女性と比べて髪や顔を隠す人が多いかと言うと、コーランの教えで女性は謹んだ服装をする事が美徳とされているためです。

<誤解その三:イスラム教では人殺しも許される>

この事は、コーランにしっかり記載されています。「一人の人間の命を奪う事は、全人類の命を奪う事と一緒の事」だと。どの宗教と一緒で、無意味な人殺しは一切許されません。

実際、イスラム圏を旅行していると、旅行者(=外部者)はよくおもてなしをされます。地方に行くと良くその様な事があります。シャーイ(お茶)はもちろんの事、食事までも。特に、ベドゥインと呼ばれる遊牧民の人達にその様な傾向があります。砂漠地帯で自分達だけで食べ物を確保するのも大変だと思うのに、我々の様なよそ者に何故そこまで?と思う事も。また、大抵チップ等も期待されません。これには、イスラム教で「旅人には良くしなさい」と言う教えがあります。とても人殺し等許せられるような環境で無い事が判断できると思います。

<誤解その四:イスラム教徒は戦争好き>

テロとの結びつきが強いですが、イスラムは「平和」を意味するだけに決して暴力は好まない人たちばかりです。とは言っても、アフガニスタン、パキスタン、イラク、シリア、リビア、イエメン等。。。争いが絶えない国が多くある事は事実です。これら紛争のルーツを辿れば、欧米諸国の内政干渉が大きく荷担しているのが一つの理由です。アフガニスタンはその良い例で、70年代はバックパッカーのパラダイスとも呼ばれた程、平和で発展した国でした。80年代にソ連が軍事侵攻してから、内戦は絶えません。イラクも、サダムフセイン時は国の統治がしっかりしており、治安も良い国でした(サダムフセインが良い指導者かどうかは別の話ですが)。でも、アメリカによる大量破壊兵器の疑いによって一方的に侵攻を受けてから、国を統治バランスが崩れ、滅茶苦茶になりました。そして、結局大量破壊兵器も見つからないまま。

ただ、シリアやリビア、イエメン等欧米の介入関係無しに情勢が悪化してしまっているケースもあります。これらの場合は独裁者が権力を握って人権を無視した様な政権が立ち上がってしまい、イスラムとは関係なく、長期的に不満を抱えてた国民による爆発が現在の状態になってしまっています。その反面、安定した国は本当に安定していて治安も良く、女性が夜遅くで一人で歩いていも問題が無い場所も結構あります。リゾート地として有名なドバイのあるアラブ首長国連邦やオマーン、カタール等の産油国が例です。また、裕福では無い国でもヨルダンやモロッコの様にとても情勢が安定した国もあります。

<誤解その五:イスラム教の教えは時代に逆行している>

確かに、現世界の中でイスラムの国々はあまり発展性(産油国を除く)は西洋やアジアに比べると劣っているかもしれません。でも、1,000年前のイスラム圏では科学や天文学が発達した時代であり、現在のスペインもイスラム圏の一部でした。当時ヨーロッパでは中世の時代であり、その時のイスラム世界の方が文明が発達していたと言われています。世界的に情勢が安定すれば、またその時代が訪れてくるかもしれません。

<まとめ:現状を振り返る>

とは言いながらも、テロリスト、石打の刑、紛争と言った様にあまり良いニュースが流れないのが現状です。特にテロリストに置いてはイスラムの名の下で行っており、良心があるイスラム教徒は彼らの行動を否定しております。これらはイスラムとは関係なくイスラム以前に歴史的に戦いを多く体験してきた民族である事が元の発端だと思っています。中東の大部分は厳しい砂漠の環境で、生きるか死ぬかの世界。部族間の絆を大切にし、映画アラビアのロレンスにも出て来ましたが、他の部族が自分の部族の井戸水を盗んだだけで殺されてしまうという、イスラム以前から続いている文化が根強いているかと思います。対照的に、環境が厳しくない緑豊かなイスラム圏の国々は穏やかで平和な場所が多いです。例えば、マレーシアやトルコ(最近はちょっとIS関係でテロが増えてはいますが)、モロッコ等がその例です。

何故、テロリストが多く発生する様になってしまったかを振り返るとやはり欧米による内政干渉やアラブ人が住んでいた地にイスラエルと言う国家を作ってしまった欧米にも理由があります。

フランスでのテロ。とても不幸なニュースで犠牲者には大変申し訳ないと思いますが、それ以上に今でもアフガニスタンやシリアでは欧米の空爆によってパリ事件の何百倍の規模の民間犠牲者が出ています。また、イラクではアメリカによる侵攻を受ける前の13年間は国連やアメリカによる経済制裁によって100万人に及ぶ罪の無い子供達が食糧と医療不足で亡くなったと言われています。

テロなんて許せない!と思う前に、その背景を知る事が大切です。日本の政治界はとりあえずアメリカ一辺倒となっていますが、独自で判断し、本当に彼らが「敵」であるかを考え直す必要があります(幸い、現在の安倍政権は中東を頻繁的に訪問し、敵には回してい無さそうですが)。イスラム圏は親日家が多く、日本を尊敬している人たちがとても多いです。その中、欧米の視点だけで動けば、折角の親日家達から目を背けられてしまうのも時間の問題です。それには、まず我々日本人が、イスラム教の偏見を無くす事が必要です。

イスラム教 誤解
イスタンブールのモスクで祈りを捧げる男性

「イスラム教の誤解」への2件のフィードバック

  1. たいへん分かりやすい説明をありがとうございます!
    インドに来て初めて、中東について興味を持ち始めました。
    イスラム教について、その国々の文化について、歴史について、遠くの国のこととしてぼんやりしていたものが、やっと少しずつ見えてきたところです。
    テロについても、ただテロは悪!という一元的な見方では解決にはならないなと感じました。
    まとまりませんが(^_^;)記事いつも楽しみにしています!

  2. Azuki様、いつもブログを読んで頂きありがとうございます。インドもイスラム教徒が多いので、日本以上にイスラム世界が近づきますね。是非一度中東(ドバイ等の国際的な都市では無く、ヨルダンやオマーン等自国の文化色が強いところ)を訪問してみれば、良さが判るかと思います。

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