航空会社:ルフトハンザ・ドイツ航空
便名:LH 710
フライト区間:フランクフルト→成田
フライト利用日:2016年5月15日(日)
予定出発時刻:13:40発
予定到着時刻:16日08:15着
フライト時間:11時間35分
機種:エアバスA340-300
座席番号:4D
機材番号:D-AIFC
機材導入日:2001年1月25日
<その1>からの続きです。いよいよ機内に潜入します。
まず、機材から案内します。この飛行機は15年も経った結構古い機材ですが、ビジネスクラスは近年に新型シートが設置され、シート自体は新しく感じます。ここで、少しルフトハンザのビジネスクラスシートのレッスンを。現在、ルフトハンザではシート配列がペアシートのみです。他の航空会社で一般的になった全席通路側アクセスシートは導入されていません。なので、窓際を選択すると必ず通路側席をまたがなければなりません。今回、座席指定は非常に迷いました。いつも迷わず窓際を選択するのですが、今回は10時間の超ロングフライトになり、事前に空席状況を確認したら全席完全に埋まっていました。と言う事は、もし窓際を選んだら隣に誰か座ります。トイレへ行くのに、頭を下げなければいけないのですが、夜行便のため恐らくフラットモードにして隣のお客は寝ている可能性も高い。となると、思いっきり跨ぐか、声を掛けて位置を戻すように言わなければいけませんが、両方ともしたくありません。でも、窓からの景色は味わいたい!結局最終的にはお隣さんを気にせずにトイレへ行ったりしたいので、真ん中2席の通路側を選びました。
前回の記事にも触れましたが、ルフトハンザは元々乗る予定では無く、僕の目的はオーストリア航空であり、たまたま予約していたオーストリア航空のフライトがキャンセルになったため、ルフトハンザへの代替になったのです。正直、自分の中では今の時代ビジネスクラス=窓際でも通路側へ出られるシートと言うのが世界基準だと思っています。なので、今回のフライトは違いを比べる事以外(帰りはオーストリア航空なので)、そんなに大きな期待はありませんでした。ただ、ルフトハンザでもシートはフルフラットにはなります。
さて、座席配列に付いて触れます。ルフトハンザのビジネスクラスには2種類のペア座席があり、一つがお互い平行に斜めに窓際へ向いているシートと、ペアがお互い若干向かっているタイプです。前者がアルファベットのHの形のシート、後者がアルファベットのAの形のシートです。
<H型シートの導入機材>
○A330、A340、A380、B747-400の窓際と隣の通路側席のペアシート
<A型シートの導入機材>
○A330、A340、A380、B747-400の真ん中通路側2席のペアシート
○B747-8は全シート(窓際と隣の通路側を含むすべて)がこのタイプ
今回のエアバスA340では、窓際とその隣がH型シート、真ん中通路ペアがA型シートです。
HとAの違いがお判りかと思います。Aの場合、基本的に足置き場は隣の乗客と同じ位置にあり、間に仕切りで分かれています。背がある人や脚が長い人は、隣の人の足とぶつかる可能性が高いと口コミで書いてありましたが、僕の隣に座った日本人の男性の方はフライト中ずっと足置き場を使う傾向が無く、ずっと起きて座っていました。
なので、実際のところあまり判りません。ルフトハンザもこのシートの評判はあまり良く無い事は知っているので、当初導入されたB747-8i機材はすべてこのA型である事に対して、その後の機材はこのH型シートが新しく導入された様です。
ルフトハンザのシートは他の航空会社には無い独特のシートです。古いシートタイプもそうですが、ルフトハンザのシートはルフトハンザだけの特別感があり、恐らく特許が絡んでいるのでしょう。
シートはとても機能的です。使いやすいリモコンとシートコントローラー、そしてシンプルでエレガントなデザイン。より狭いスペースで快適に過ごせられる様に開発された事が伺えます。確かに、同じフラットシートでも先日に乗ったオマーンエアでは似た機材で縦4列でしたが、ルフトハンザではもう1列多い縦5列。なので、やっぱりオマーンエアの方が同じキャビン内で座席数が20%少ない為、快適度はオマーンエアの方が高いという事実は隠せません。
でも、スペースはともかく、シートに装備されているものやアメニティーはとても質が高いです。まず、驚いたのがヘッドフォン。なんと、ボーズ(Bose)のヘッドフォンが提供され、とても高品質。もちろん、音楽を聴いたりや映画を見るのに最適なのですが、耳に当てているだけで外の音があまりしないのです。正に、ノイズキャンセリング!また、アメニティーは厚手のスリッパと、Samsoniteのポーチが配られます。
そして薄くて暖かい毛布。この毛布、今まで色々なエアラインで提供された中で最もクオリティーが良くて、持って帰って来たかったです(笑)。
ちなみにこのコントローラーの真ん中にある黒い四角のボタンが、マウスです。指の動きで、テレビ画面の操作ボタンになります。最初はちょっとコツが必要です。
シートは、なんと硬さも調整できました。上記写真右下がそうです。空気を入れて座席を硬くする感覚でした。これ、この新型シートを最初に導入されたB747-8iは無いそうで、それ以外の機材に導入されている様です。
ちなみに、このBoseって、実はインド人が起業した会社なんです。チャンドラボーズのボーズと一緒で、ベンガルでは一般的な苗字。こんな最高のヘッドフォンを開発してしまうので、凄いですね。
色々座席の「視察」をしている内に、ウェルカムドリンクが配られました。僕の座席側の通路を担当したのはベテラン男性クルーで、パーサーでした。とても丁寧な接客です。欧米系の航空会社って、あたりはずれのクルーが居ますが、ルフトハンザは平均的に欧米系にしては繊細なサービスを提供していると思います。シャンパンを選びました。シャンパンは:Champagne Duval-Leroy Brut Reserve, France。
離陸します。いつも窓際を座っている身にとって、景色が見えない通路側席はちょっと違和感があります。何より、「見られている感」があります。いや、実際には見られていないのですが、四方座席に囲まれていると、写真をカシャカシャするのが窓際以上に気を使ってしまいます(笑)。そう意味では窓際であれば、実際写真を撮る時気になるのは隣の乗客だけなので、良いですね。
ちょっと座席をリラックスモードのします。
足置き場の位置が低く、シート自体はもっこり上がるので、ちょっとアンバランスを感じます。逆に、リラックスモードでは足置き場がちょっと邪魔に思います。
テレビは位置を左右に動かせ、かつ角度も調整できます。初代B747-8iでは、左右にスライドができるだけで角度は調整できない様です。
離陸後のドリンクタイム。また、シャンパンをお願いしました。ナッツと一緒。
すぐに昼食タイムが始まります。クルーが最初にオーダーを取りました。
ここで、メニューを拝見します。結構分厚いメニューで、ドイツ語、英語、そして日本語で記載されています。
機内食の日本食はザ・ペニンシュラ東京のシェフとコラボです。
ドリンクメニューはビジネスクラスにしてはかなり豊富だと思います。
そして、機内食が始まります。ルフトハンザのビジネスクラスでは「レストラン式」で食事が提供され、これはトレーを使用せず、食器を丁寧に一つ一つセットアップしてくれます。ファーストクラスで一般的な食事の提供の仕方です。
パンのバスケットは色々な種類がありました。味は美味しかったのですが、温められていません。文化的な背景でしょうか。味が良かったために、温めたら更に美味しかったと思います。ドイツと言えば白ワインなので、飲み物は白ワインを。銘柄は:2014 Oppenheimer Riesling trocken, Louis Guntrum, Germany。
さて、キャビンは満席である事と、座っていたのが後ろの方だったため、前菜及びメインとも第一希望のチョイスは一つ前の席で切れてしまいました。残念!
<前菜>
第一希望は「アスパラガスのサラダと車エビ」→「マリネしたビーフの細切りとニンジン&アーモンド」
<メイン>
第一希望は「新鮮なアスパラガスと子牛肉のテンダーロイン、オランデーズソースとパセリポテト」→「アルプスイワナ、ポロ葱と丸麦のリゾット」
あぁ、5月のヨーロッパはホワイトアスパラガスが新鮮な時期だけに、2回ともアスパラが選べなかったのは残念でした!しょうがないね。。。
プレゼンは良いですが、気になるお味は。一言でいうと、両方とも塩分が強すぎて残念。ビーフもイワナもクオリティーは悪くなかったのに、塩分ですべてを殺してしまった感じです。これは勿体なかった。隣の乗客もかなり魚を残していました。あれ、機内食はちょっと期待していたんだけどな。
サラダが唯一の救いもの。ドレッシングはサウザンアイランド。
機内食が飛行機に乗る一番の楽しみだけあり、残念でした。でもですね、デザートは非常に美味でした。選んだのは「バターミルクムースとルバーブバニラのコンポート」。これは大正解。シンプルなムースで甘すぎず、コンポートも美味しく頂きました。
食後のドリンクはスキップ。その代わりに、フルーツプレートをお願いしました。同時に、お休みのチョコレートが配られました。有名な丸っこいモーツァルトチョコレートです。
この時点で、シートをリラックスモードにした時と、フラットにした時を比べてみます。先ほども触れましたが、リラックスモードは尻の部分が結構もっこり上がりながらもレッグレストはあまり上がらなく、足置き場は低いのでそれほどリラックスできる様には感じませんでした。
でも、フルフラットモードはちゃんとしたフラットに。でも、同時にお隣さんの脚・足も近くなります。幸い、お隣さんは姿勢を崩さずずっと11時間もオリジナルの位置で座っていましたが。。。僕は撮影ばかりしていたので、あまり迷惑を掛けていない事を願います(笑)。感じの良い方でした。
そして、フラットにして品質の良い毛布をかぶりながら機内を眺めます。
そろそろ寝ようかと思いますが、最後にギャレーでセルフサービスのバーを拝見しにいきます。ちょうどその頃クルーがバーの準備をしていたので、せっかくのチャンスとして写真撮影をお願いさせて頂きました。女性クルーが「Make sure we’ll be famous!」と冗談を言ってくれ、きさくでした。
その時は丁度シベリアの上空。眼下にはまだ氷の張った湖と、現地時間は深夜12時近くてもまだ明るい外は北極に近いんだなと言う事を感じさせられます。ドアの小さな窓から何とか眺める事ができました。これは綺麗!ちょっと窓際を選ばなかった事に後悔を感じてしまいましたw。
そして記念撮影。男性が、ベテランクルーのパーサーです。
僕もご一緒させて頂きました(笑)。
ビジネスクラスのバーはこんな感じ。ハムのサンドイッチやフルーツ、そしてマリネ野菜等の軽食と、ソフトドリンク類、おにぎり、パッケージの菓子類、そしてコーヒーです。
次は化粧室を拝見。アメニティーが色々揃っている以外は、至って普通でした。清潔感はありました。
Korres製はエティハドビジネスクラスも一緒ですね。
座席に戻り、数時間、フラットにして寝ました。
ロシア空域を出て日本海に入る時に朝食時間となりました。先ほどの欧風オプションがはずれだったために、朝食は日本食を選択しました。これが正解!
前菜は厚焼き玉子、鶏つくね醤油風味、明太子、しば漬。
台の物は鮭西京焼き、きんぴらごぼう、焼き茄子、人参、スナップエンドウ。
この日本食は「ちゃんとした」日本食で、やさしい味付けでとても食べやすく美味しく頂きました。フランクフルトで積んでいるはずなのに、日本食の方がうまいとは。一度最初の機内食で下がった満足度は上がりました。
朝食後は日本の上空に差し掛かりました。
そして徐々に高度を下げ、飛行機は快晴の成田空港に着陸です。
さて、ここでとても嬉しいお知らせが。飛行機から降りると、地上係員が僕の名前を記載したネームボードを持っていました。話を伺うと、なんとマスカットの空港でオマーンエアによって積み忘れられた預け荷物が、これから2時間後にアリタリアのフライトによってミラノから届くと!ただ、成田空港で荷物を申告しなければいけなくなり、そのためバッゲージクレームのところにある全日空カウンターへ手続きをする様に案内されました。
全日空のカウンターへ行って、「すしまるですが。。。」と言うと、ANA地上係員に「待ってました!」と歓迎され、なんだかとても親切に対応してくれました。ANAは全く関係ないのに、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」なんて接せられ、こちらがとても恐縮してしまいます。これはオマーンエアの責任なのに。
記入用紙に住所や荷物の中身、そして鍵のパスワードを聞かれ、荷物が届いたら宅急便で日本の滞在先まで郵送すると言う事。なんだかめちゃめちゃ安心しました!ミラノ空港の職員がちゃんと成田へ運ぶと言ったときは半信半疑でしたから。。。オマーンエア、ミラノ空港、アリタリア航空、ルフトハンザ、そしてANAの見事な連携プレーに大の感謝です。
ANAの女性係員は最後到着ロビーに出るまで付いてきてくれ、お陰で税関はスムーズに通り、無事に安心して日本の空気を吸う事ができました。
翌朝、荷物はちゃんとクロネコさん経由で届けられました(^^)。めでたし、めでたし。
これで、デリー→成田の超長距離移動は終わりです。次回は第2段になりますが、その前に日本での滞在記及び感じた事を色々と書きたいと思います。
このブログを書き終わった時点でちょうど日本滞在最終日!時間だけがどんどん経っていきます。明日からまた違うルートでデリーへ戻ります。
まずは第1弾一時帰国ルート体験談終了です。とりあえず、ここまで全部読んで頂いた読者の皆様、ありがとうございます。
<ルフトハンザの印象>
カイロから合計約23時間掛けてずっとルフトさんにお世話になりました。さすがドイツと言う感じの航空会社で、清潔な機内、満席にも関わらずテキパキした効率良いサービス、機能的なシートと安心面ではとても心強さがあります。ビジネスクラスはカイロ→フランクフルトも、フランクフルト→成田も完全に満席になっている事はやはり信頼性がとても高いのだと思います。クルーも愛想が良く、リクエストにはすぐ応じてくれ、印象は良いです。僕がギャレーに立っていたら、日本人クルーも「何か必要なものはありますでしょうか」とお気遣いもして頂き、居心地は良いです。機内食も成田便の昼飯はガッカリでしたが、とりあえずたまたまそういう食事に当たってしまったという事にしておきましょう(笑)。和朝食は結構楽しめたので。
でも、やっぱりシート!先日オマーンエアのシート(JALのB787とB777-300ERと一緒のタイプ)を体験した後だと、いくら同じフラットでも窓際のシートが通路へアクセスできないのは痛いです。同じルフトハンザグループのスイス国際航空やオーストリア航空も、ルフトハンザの傘下にありながらも通路側アクセスできる窓際を設けています(スタッガード式)。まぁこれだけ満席になるほどの乗客が居れば更に座席数を減らす必要は無いのかもしれませんが、世界を代表する航空会社でもあるのでここはもうちょっとお客目線だと更に楽しめますね。それが理由で、元々ルフトハンザに期待はあまりしていなかったので。結果的には、良い経験をさせて頂いて良かったです。
「ルフトハンザA340-300ビジネスクラス搭乗記:フランクフルト→成田その2(機内編)」への6件のフィードバック
すしまるさま
初めまして、ルフトハンザ、ビジネスクラスで検索し、こちらにやってまいりました。
春にフランクフルトー名古屋のビジネスクラスに乗るのですが、すしまるさまは窓側を勧めていらっしゃいませんよね。
今回一人旅なのですが、普段はお手洗いの関係上通路側ばかりです。(エコノミー)
やはり窓側の隣の通路側にした方がいいと思われますか?
中央2席はA型となりなんとなくお隣の方と向い合せっぽいですよね。
それにとても抵抗があるのです。
が、いまだ空席が沢山あるので本当にその中央2席が埋まるのかどうかは不明ですが。
こんな場合すしまるさまならどこを選ばれますか?
ご助言いただけると幸いです。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いします。
きんもくせいより
きんもくせい様
こんばんは。
実はこのフライト、窓際に座らなかった事を後悔しました。てっきり隣の人をまたぐのが万が一寝ていた際は申し訳ないと思ったのですが、シートはフラット状態になった時、結構高さが低くなるので、自分の身長(167センチ)であれば余裕で隣人をまたげそうでした。やはり中央の向かい合わせは違和感ありますね。。。
できれば、中央2席は避けて、窓際の隣の方がまだプライバシーがあるかと思います。ただ、寝ている際に窓際の乗客がまたいでもあまり気にならなければ、ですが。さもなければ、いっそ窓際でもよいと思います。
窓好きな私なら、優先度は窓際>窓際の隣>中央2席のどれか、です。
すしまる様
迅速な回答本当にありがとうございました。
恥ずかしながらお手洗いへ行く頻度がひと様よりも多い自分なので通路側(窓側隣)をとりました。
色々見て行くと、行きと帰りでは機材が違うようで同じ番号の座席を取っても先頭であったり3番目であったり・・・。奥が深くてびっくりしております。
余談になって申し訳ありませんが、夫がエーゲ航空でマイルを貯めており、最初は座席の関係(お隣がいない状態)からANAで羽田経由で名古屋に行きたかったのですが、往復ともにANAではまったく取れない(どの日程も)と言われました。ネットで検索してみると、「ANAをマイルで取るのは奇跡にちかい」ようなことが書かれていました。
せっかくビジネスクラスに乗るのだから満足の行く旅がしたいと色々欲が出てしまったのです。
本当にありがとうございました。
そうしましたら通路側で正解ですね。座席番号は、ファーストクラスが搭載されている機材は最初の2列がファーストクラスになるので、ビジネスクラスは3列目からになります。
でも、可能であればプライバシー感もあって隣人に気にする事の無いANAの方が良いですよね。ビジネスクラスは折角のチャンスなので、できる限り満足度を上げるべきです。
全国通訳案内士 合格おめでとうございます。
古い記事に投稿して申し訳ありません。
昨年春にビジネスクラスを利用しました。お隣のお席の女性がクルーのお母さまで行きはずっとその女性と話しており楽しい時間となりました。またほぼフラットにして体を休めることができ、日本到着後もあまり疲れがありませんでした。やっぱり少しでも横になれることはいいことですね。
今年の秋にはカタール航空のQスイートに乗ることになりました。夫が偶然格安オファーを見つけ早速購入したのです。
これに関してまた情報がありましたらブログで教えてください。楽しみにしております。
きんもくせい
きんもくせい様
お久しぶりです!コメントをありがとうございます^^。
ルフトハンザでご満喫されて良かったです。フラットは違いますよね。
皆様が絶賛する「世界一のビジネスクラス」Qスイートは楽しみですね。私も乗りたいなぁー、と思いつつ、あまり機会がありません。搭乗されたらお話をお聞かせ下さい。