ラダック視察旅行~4:インダス川下流地域とガイドブックに載っていない峠越え

【2日目】

早朝にアルチを出発する。西へ移動。まずは、アルチから国道に戻り、サスポル村に到着する。ここには、アルチ・ゴンパ内部の様に埋め尽くされた壁画が残る洞窟がある。この洞窟、車を止めてからかなりな急な上り坂を足で登らなければいけない。しかも崖なので気をつけて登らなければ危ない。

登ってしばらくすると右側に比較的新しいサスポル・ゴンパが見えるが、洞窟があるの分かれ道から左側の急な斜面の方を登っていく。アルチからサスポルまで車で15分ぐらいだ。

景色が良い
景色が良い
洞窟内の壁画
洞窟内の壁画
保存状態も良い
保存状態も良い

洞窟を見学した後はリゾン・ゴンパへ向かう。このゴンパは国道から5キロぐらい山の奥に入った所にある。尼僧院もあり、風情のあるゴンパだった。途中、道路整備がしてあったため、最後の1キロぐらいは車から降りて徒歩で行った。サスポルから車で30分ぐらいだ。

なんだか西遊記に出てきそうな雰囲気だ
なんだか西遊記に出てきそうな雰囲気だ
若い僧侶を呼んで扉を開けてもらった
若い僧侶を呼んで扉を開けてもらった
ラダック リゾン ゴンパ
扉を開けてくれた僧侶

リゾン・ゴンパを離れ、次はインダス川沿い下流地域に向かう。この地域は別名Arya Valley(アーリヤ渓谷)とも呼ばれていて、ブロクパ族と呼ばれる民族が暮らしており、この人たちこそ伝説の金髪で目の青い純粋アーリヤ人では無いかと知られている。

が、実際訪れると、確かに顔立ちはラダック人より彫は深い人たちが見かけたが、それでも金髪や目の青い北欧人みたいな人は居なかった。普通より少し彫りの深いモンゴロイドという感じ。

まずは途中、国道沿いにあるカルツェと言う場所でランチ。この先にはレストランは無いので、済ませておく。

汁麺のトゥクパ
汁麺のトゥクパ
カルツェの様子
カルツェの様子

ここから、スリナガルへ行く幹線道路とインダス川下流地域へ行く道が分かれる。軍のチェックポストがあり、外国人はパスポートチェックがある。

幹線道路から分かれて道は細くなる。インダス川沿いを右側に走っていく。この日は生憎曇っていたが、晴れていれば青く輝くインダス川が見えるだろう。

インダス川
インダス川

カルツェから走る事約1時間でスクルブチャン村に着く。ここは丘の階段を登ったところに古いゴンパがある。この地域は主要な観光名所が無く、観光客もあまり来ない感じがする。そのため、素朴で古いラダックの村という雰囲気がした。どことなく宮崎駿のアニメの世界に入った様だ。

スクルブチャン村の子供
スクルブチャン村の子供

Ladakh248

石畳の階段で登っていく
石畳の階段で登っていく
お経みたいなのが刻まれたカラフルな石が並ぶ
お経みたいなのが刻まれたカラフルな石が並ぶ
スクルブチャン・ゴンパの内部
スクルブチャン・ゴンパの内部
ゴンパから眺めるスクルブチャン村
ゴンパから眺めるスクルブチャン村

スクルブチャン村は普通のラダック人の村だが、その先からブロクパ族と呼ばれる人たちの村々が増えてくる。

その中でも、最もブロクパ族の集落が大きい村がダー村。スクルブチャン村から車で一時間ぐらい走ったところだ。

ダー村は事前にInner Line Permitと呼ばれる許可証が無いと訪れらない。これはヌブラや有名な湖、パンゴン・ツォへ行くときも必要だ。この許可証が必要な理由は国境地帯で容易に観光客の立ち入りを制限したいためだと見られる。特にラダックと接しているパキスタンと中国は領土問題などもある。

この許可証は容易に取得できるもので、自分で申請しても良いしレーの現地旅行会社が代行してくれる。僕たちの場合には事前にお世話になっている現地の旅行会社に頼んで作成してもらった。必要書類はパスポートだけだ。即日に許可証は下りる。

ただし、公用旅券の保持者はこの許可証は取得できない。どうしても行きたいという場合にはデリーの内務省で取得ができるが、すぐに下りず、何週間と掛かる場合もあるので、厳しいだろう。

ダー村付近
ダー村付近
道路から車を降りて15分程歩かなければならない
道路から車を降りて15分程歩かなければならない
あまり村民は歩いていない
あまり村民は歩いていない

正直、あまり印象の無い村だった。ドライバー曰く、夏になると畑仕事に出る村民が多くて賑やかになるとの事。

そもそも、何故この村に行きたかったかと言うともちろん伝説のアーリヤ人とされている事にも興味を持ったが、独自の文化を保ち、外の文化とあまり混じらなかったと言う勝手にちょっとした秘境感を求めた。

今ではほとんどのブロクパ族が仏教徒だが、他のラダックには無い習慣があるらしい。実際にダー村を訪れると他のラダックの村とは変わらないし、逆に失礼だが時期的なものなのかしなびた印象を受けた。

撮影許可を求めるとチップを要求された
撮影許可を求めるとチップを要求された

ブロクパ族は「花の民」とも呼ばれ、男女とも正装の際には頭に立派な花飾りの冠をする習慣がある。上記の女性も花はついていないものの、花を支えるためのカラフルな布がぶら下がっている。確かに、一般のラダック人より彫が深いかもしれないが、顔だけではあまり違いが分からない。

こちらの男性は目が青く西洋人っぽい顔立ちだった
こちらの男性は目が青く西洋人っぽい顔立ちだった

ダーを離れ、カルギルへ向かう事に。ダーから直接カルギルへ繋がるルートは、2010年まで外国人やインド人を含む観光客の立ち入りを一切禁止していた。この川の先にはパキスタンの実効支配地域があり、1999年にはこの地域で砲弾が飛び交い戦争もしている。こんな美しい場所で戦争なんて考えられないが、死者も出ている。チェックポストも多く、今でもちょっと緊張感が漂うエリアだった。

下流沿いに走るにつれ、標高も低くなっていく
下流沿いに走るにつれ、標高も低くなっていく

開花した杏の花も増えて来る。標高は約2,700メートルぐらい。

インダス川沿いを走るのはバタリックと言うパキスタン実行支配地域間近の場所まで。そこから、インダス川はパキスタン領土内に入るので、先には行けない。道路はインダス川を越え、山道となり標高を上がっていく。この道がカルギルまで続く。高度が上がっていくにつれ、積雪も増えていく。そして、寒くなっていく。

標高3,700メートルぐらいに位置するラルン村
標高3,700メートルぐらいに位置するラルン村

周辺は雪だらけ。なんで人間はこんな過酷な場所に集落を造るのだろうと思った。

自分達の車。トヨタさんの宣伝にならないかな?
自分達の車。トヨタさんの宣伝にならないかな?
ゆ~き~がふえていく~
ゆ~き~がふえていく~
ハンボティング峠
ハンボティング峠

この辺の案内はどんなに詳しいガイドブックでも無かったので、秘境感たっぷり。

峠を超えると向こう側にザンスカール山脈が見えてくる
峠を超えると向こう側にザンスカール山脈が見えてくる

谷間だ。谷間の麓に、カルギルがある。

雪山の上に建つモスク。 シルバーのドームが印象的。
雪山の上に建つモスク。シルバーのドームが印象的。

そして山を降りてカルギルに到着する。カルギルの標高は約2,800メートル。前泊したアルチより標高が低いが、谷間に位置するせいかとても寒い!そして辺りはまだ雪が多く残っている。今まで空気が乾燥していたのにここは雨も降っていて湿気が高い。だから余計に寒く感じるのだろう。

カルギルはレーとスリナガルの丁度真ん中に位置する街。人口も、レーとスリナガルの間では一番多く、この2区間を陸路で横断する場合は大抵ここで1泊する。また、ザンスカールへ行く拠点の街でもあるので、ここの重要度は結構高い。ただし、外務省の安全情報によると一番危ないとされる「退避勧告」の地域だが、これはパキスタンの実効支配地域と近く、1999年にはパキスタン側の砲弾も受けて一時期は戦闘地域でもあった。それ以来は特に紛争も無いが、両国の緊張が高い場所ではあると思う。治安は悪くもなさそうだし、ホテルにはレストランが無いため近くのバザールまで夜食事に歩きに行ったが、問題無かった(ちょっと暗いけど)。

カルギルは住民のほぼ100%がイスラム教徒。民族的にも僕たち日本人の顔立ちをしたラダック人と言うよりも、カシミール人の血が入ったハーフと言う感じ。言葉はラダックとは異なるモスクは至る所にあるが、仏教寺院は無い。観光名所もあまり無く、あくまでトランジットの中継地として栄えている印象だ。なので、ホテルもラダックと比べると高いし、市内中心部のレストランへ行ってもメニューは4品ぐらいとあまり豊かな感じでは無かった。(スリナガルへ繋がる道路が峠の雪で閉まっているため食料が不足しているのは承知だが、同じ状況のラダックのレーではもっと品数も豊富だった。)

ホテルは冬でも唯一オープンしているシアチェン・ホテル
ホテルは冬でも唯一オープンしているシアチェン・ホテル

僕たち以外に客は居なかった。これでもカルギルでは老舗の最も設備の整ったホテルの一つだ。

バスルームは老朽化が目立った
バスルームは老朽化が目立った

ギザは使えなかったので、ボーイにお湯を用意してもらった。(観光シーズンになると使えるようにはなると言っていたが。)

カルギルの街の様子
カルギルの街の様子

朝はこんな感じだが、日中や夜はもっと混む。

とにかくカルギルは寒かったので、持参した寝袋+ホテルの毛布で寝た。 翌日はスリナガル・レーハイウェイを経由してアルチへ戻る。

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