【4日目】
アルチを早朝に出発。今日は下ラダックを離れてレーへ戻り、カルドン・ラを超えてヌブラへ行く日だ。走行距離は200キロ近く。
アルチを離れて最初はリキール・ゴンパへ。レーへ戻る幹線道路(国道1号線)から少し奥まった場所にある。先日訪れたリゾン・ゴンパに雰囲気は似ているが、こちらの方がもっと賑やか。ちょうど訪れたとき、朝のお祈りの時間だった。寺院本堂では沢山の僧侶がお経を唱えていた。笛や太鼓、楽器も使用されてた。
リキールの後はバスゴーと言う幹線道路沿いにある小さな村へ。ここには、丘の上にバスゴー・ゴンパが建てられている。一見廃墟の様に見えて今でも崩れ落ちそうだが、今でも現存のゴンパだ。
ささっと見て次はピャン・ゴンパ。レー郊外にあり、少し国道から奥へ数キロ程走る。もうこの地点でだいぶゴンパばかり見てきており、正直飽きが来たが、やはりできるだけ視察でおきたいのでしっかり内部も見る事にする。ただ、この時期改装中で新しい建物の内部だけを見学した。リキールやリゾンなどの方が風情はあるかなぁ。ピャンはゴンパよりも、村の雰囲気が良かった。農地が多く、夏には緑豊かな村になると思う。
ピャンの後は、レー空港の滑走路脇に位置する、スピトゥック・ゴンパ。レー周辺のゴンパでは最大のゴンパらしい。ゴンパ自体よりも、ゴンパから眺めるレーも街並みが綺麗だった。ちょうど飛行機が出発する時で、エアラインマニアとしては良い写真が撮影できた。
さて、下ラダックの旅はこれで終わり。これから先は、標高5,300メートルの峠を超えてヌブラへ行く。旅の楽しみはこれからだ!
まず、運転手のプンツォック君がレー市内でスノーチェーンを購入する。どうやら峠の積雪があるらしく、普通のタイヤだけでは滑ってしまうとの事。なんだかワクワク感が更に出てきた。もちろん、レーには雪は無く、気温もたぶん15度前後だと思う。快晴だった。
これから向かう峠はカルドン・ラ。インドは標高5,602メートルと公式に発表していて世界で一番高い車道の峠だとされているが、実際の標高は5,326メートルだと言われている。5,326メートルが正式であれば世界で一番の座ではない。それより高い車道がチベット自治区にあるからだ。
どちらにしろ、標高は十分高い。レーが標高3,500メートルぐらいなので、いっきに2,000メートル近く高くなる。しかも、レーのすぐ後ろにある。
賑やかなレーのバザールからカルドン・ラへ繋がる道は比較的整備はされているが、交通量があまり多くない感じだ。蛇行道路はどんどん高度を上げていく。途中、サウス・プッルという、峠へ行く中間地点ぐらいに軍の基地があり、そこで許可証のチェックがある。そう、カルドン峠やヌブラへ行く際にはインナー・ライン・パーミットが必要だ。
ここを超えると、舗装された道は終わり、砂利道が続く。そして積雪も増えていく。まだチェーンはしていないが、だいぶ車も滑ってくる。途中、景色の良いポイントがあったのでプンツォック君に止めてというと、冷静に「今は無理」と断られた。どうやら、登り道なので一度氷の上で止まるとエンジン掛けても滑って動き出せなくなる様だ。もうすでに標高5,000メートルは超えていた。雪が少なくなったところで止めてくれた。
このままだったらチェーン無しでいけるじゃん、と思いきや、峠まであと2キロという地点でついにスタック!なんとかカーブの広い所で車を止め、そこでスノーチェーンを付ける事にした。標高は5,200メートルぐらいだろう。ここまで来ると酸素は平地の半分と言われているが、この4日間ずっとラダックで高度順応していたせいか、それほど息苦しくは感じなかった。
峠を超えると下りからトラックの行列が!しかもスノーチェーンを巻いていないのもあるし。案の定、この写真のトラックはスタックしてしまい、こちらの車も前へ進めず。立ち往生してしまった。1時間ぐらいのスタック。外は風も強く、かなぁぁぁり寒かった!とりあえず、窓は全部閉めて外気を入れさせないようにする。太陽が出て中は暖められるのがせめての救い。
なんとか脱出できた。そしてノース・プッルへ。さっきのチェックポイントがサウス・プッルなので分かりやすい。ここから先は舗装道路があり、スピードが出るようになる。チェーンもここで一先ず降ろす。
日が暮れて、やっと夜にフンダール到着。ヌブラでは一番設備が整ったとされるカルマ・インに宿泊。今までの宿がシンプルだったせいか、この宿は天国に感じた。何も無い、こんな田舎にこれだけのホテルがあるとは!
観光客も多く、ばっちり着込んだインド人の大家族の旅行者が多く泊まっていた。従業員も地元の人ではなく、ジャンムーやウッタラカンド等から来ていた。
たっぷり移動した日なので就寝。明日は東へ移動し、パキスタン実行支配地域の近くまで行く。