2019年に、JALとANAの同路線、東京出発の同時間帯フライトのビジネスクラスを徹底比較をしました。
今回は、座席だけに焦点を絞ってランキング形式で比較をしてみます。
比較対象は主に飛行6時間以上の際に使用される、長距離仕様機材。
2023年6月現在、JALは3種類、ANAは2種類のシートを提供しています。
これら全て共通している点:
①フルフラットになる
②全席通路側へアクセスできる
生憎JALの767機材だけに導入されているJAL Sky Suite IIにはまだ搭乗ができていません。
JALは777と787-8/9に搭載されているJAL Sky Suiteと、787-9の一部に搭載されているJAL Sky Suite IIIの2種類が比較対象になります。
そして、筆者が印象に残ったそれぞれのメリットとデメリットも紹介していきます。
結論から言うとANAのThe Roomがベストです。
1位:ANAのThe Room
搭載機材は777-300ER型の一部。
大胆な広すぎる座席、ドア付きで完全に閉まる日本初の完全個室型シート、そしてドアを閉めると城塞の様な感覚。
世界を驚かせたこの革新的な座席は、カタール航空のQsuiteに並ぶ世界一のビジネスクラスシートとも呼ばれています。
<The Roomのメリット>
*ドア付きなので、閉めるとほぼ完全プライバシーの空間を満喫できる(安全対策のため若干隙間はあるが気にならない程度)。
*座席がとても広く、リビングルームのソファーで寛いでいる感覚がある。
*真ん中の2席は距離が近いため、カップルや子連れに最適。
<The Roomのデメリット>
*フルフラット時、身長180センチ以上だと膝を曲げないと寝れない。
*座席周りに小物を収納できるような場所が無い。
*窓に一番近い座席は進行方向後ろ向きになる。
まぁ、正直デメリットに関しては収納は棚の上のロッカーが自分専用である訳だし、進行方向後ろ向きは離陸と着陸の際に少し違和感があるだけでそこまで大きな問題ではありません。
2位:JAL Sky Suite
搭載機材は787-8と787-9の一部。
こちらも、窓際であればほぼ個室感覚です。専用の通路があるので比較的プライバシーもあります。
一番のメリットとしては、足元が広い!
身長180センチ以上であれば、足を真っ直ぐ伸ばせて寝る事ができるのでこちらの方が快適かもしれません。
通路側席より、窓際席の方がとんでもなく足元が広いです。
<JAL Sky Suiteのメリット>
*窓際席へは専用通路があるので、個室感がある
*足元が広い(特に窓際)
*足をボックスに収めなくても良いので解放感がある
<JAL Sky Suiteのデメリット>
*窓際座席の物置きスペースが非常に限られる(通路側は座席脇にコンパートメントがあるので問題無い)
*離陸と着陸は仕切りを下げなければならないのでこの間は隣人と近い距離感を感じる
*ビデオモニターが遠い
日系の長距離機材ではこのJAL Sky Suiteが唯一、足を狭いボックスの中に収めなくて良いので一番贅沢なレイアウトになっています。
窓際座席の限られた物置スペースを除けば、大した事無いデメリットばかりなのでこのタイプもかなり快適です。
The Roomには無い別の良さが表れているシートです。
3位:ANAビジネススタッガード
搭載機材は全ての777-300ER、787-10、787-9、A380、及び787-8の一部。
どの座席も独立した空間だけど、JAL Sky Suiteと比較するとこじんまりしています。
安定の快適度で、限られたスペースを最も活用できたシートでは無いでしょうか。
<ANAビジネススタッガードのメリット>
*他の乗客と程よい距離感がある
*足置き場の下に手荷物の収納スペースがあるのはありがたい
*全体的に空間がゆったりしている
<ANAビジネススタッガードのデメリット>
*フルフラットで寝る時、身長180センチ以上の場合は膝を曲げる必要がある
*通路に面した座席はかなり露出した形になるので人の行き来があると落ち着かないかもしれない
*どの座席も隣とある程度の距離があるのでお互い会話がしにくい(カップル席があるA380を除く)
スタッガードも非常に快適ですが、窓際や通路から離れた真ん中座席で無いと少しデメリット色も強くなってきそうです。
同伴者と距離を縮めて座るのは厳しいですが、良い点は真ん中座席は通り抜けが可能なので、小さい子連れの際にはアテンドはしやすいです。
4位:JAL Sky Suite III
搭載機材は787-9の一部。
多くの航空会社で採用しているリバーズヘリンボーン型です。
JALの場合は他社と比較すると同じ空間に更に座席を詰めています。
その方法もとても賢くて、真ん中の2席はなんと足置き場のボックス部分が2段に分かれて交差するシステム。フルフラット時、進行方向左側の座席は床に近い位置まで下がり、進行方向右側の座席は一般のベッドみたいに高い位置まで上がります。
<JAL Sky Suite IIIのメリット>
*足置き場のボックスが意外に広いので足を伸ばしやすい!
*座席脇の収納ボックスが小物を保管するのに便利
*プライバシー感が結構ある
<JAL Sky Suite IIIのデメリット>
*全体的に少し窮屈
*子連れのアテンドにはとても不便なレイアウト
*窓際座席でも窓から距離がある
ドアは付いていなくても結構プライバシーを感じさせられるけど、座席周りのスペースが狭い!
その代わり、足置き場は見た目によらずかなり深いので、身長180センチ以上あればもしかしたらANAのThe Roomやビジネススタッガードよりももしかしたら快適かも!?
真ん中2席は結構お互い距離がある上、サイドテーブルがブロックするので、子連れの場合は通路を挟んだ方が面倒を見やすいかもしれない。ただ、座席が反対方向を向いているので、ちょっと世話が難しそうです。
まとめ
ANA The Room | JAL SS | ANAスタッガード | JAL SS III | |
全体的な空間 | 全席◎ | 全席◎ | 全席○ | 全席△ |
プライバシー重視 | 全席◎ | 全席○ | 通路側以外○ 通路側△ |
全席◎ |
子連れ向け | 中央列○ | 全席○ | 中央列◎ | 全席△ |
カップル向け | 中央列◎ | 全席○ | A380中央列◎ その他中央列○ |
全席△ |
身長180cm以上 | 全席△ | 全席◎ | 全席○ | 全席◎ |
横幅 | 全席◎ | 全席○ | 全席△ | 全席○ |
座席周りの収納 | 全席△ | 全席△ | 全席○ | 全席○ |
どの座席もとてもよく考えられたデザインです。特にThe RoomとJAL Sky Suiteはビジネスクラスとは思えない程、ワンランク上のデザイン・快適度があるでしょう。ANAビジネススタッガードとJAL Sky Suite IIIは、業界水準のビジネスクラスと言えます。