2024年8月9日補足:2024年9月に羽田便に導入予定であるエミレーツ航空ボーイング777新タイプの座席を比較対象として新たに反映させました。
中東御三家に属する代表的な「豪華」エアライン、エミレーツ航空とカタール航空(もう一つはエティハド航空)。
この二社は短期間で急成長し、積極的に大型機材を導入して今や世界全土を網羅しています。
さて、この二社、結構対照的です。
エミレーツ航空は老舗のブランド力を築き上げ、かなり定着してきましたがカタール航空はまだまだそこまで知られていないかもしれません。
2023年9月に初めてカタール航空を本格的に体験して、筆者の大好きだったエミレーツ航空と比較してみたいと思います。
あくまで主観的な部分が大きいですが。
①陽キャラ vs 陰キャラ
一言で違いを表すと、正にこれ。
エミレーツはかなり陽キャラ、カタール航空は結構陰キャラです。
どちらの方が良い悪いという意味で無く、それぞれにメリット・デメリットがあります。
・明るいエミレーツ航空
エミレーツ航空のクルーは基本カジュアルで明るく、コミュ力高くて一緒に居ると楽しい場合が多い。
YouTubeでは、CRAZYCOCOチャンネル(日本人)やjeenie.weenie(韓国系カナダ人)等エミレーツ航空出身のクルーは登録者数が多く、SNS上で人気者になっています。
御三家の中では一番歴史も長く(とは言え誕生したのは1980年代とそんなに古くないですが)、働くクルーも誇りを持っている印象です。
何と言っても、楽しく仕事をしている感覚は乗客としても微笑ましいし好感度を持ちやすい。
その分、手厚いサービスの感覚はあまり無く、ビジネスクラスやファーストクラス等の上級クラスになると少し物足りなさを感じさせられる事があるかもしれません。
筆者もドバイのファーストクラスラウンジのバーでスパークリングウォーターを注文した時に、ただのボトルを渡され、グラスや氷、レモン等の案内が無かった時にはあまりにも雑だと思ってついつい口に出してしまいました。
・保守的なカタール航空クルー
カタール航空は社員に厳しい規則が沢山ある事が話題になっています。
巷では、ちょっとミスをするだけでクビ?社員寮では厳しい門限がある?社員への期待値が高くプレッシャーが高い?等、本当か分かりませんが様々な情報が飛び交っています。
個人的に、実際カタール航空のクルーとお話して確実なのは撮影の際にクルーは写ってはいけない、という事(2023年9月に利用した際)。
撮影許可を得る際に、機内及びラウンジスタッフに同様の規定を伝えられました。
まるで恐怖の世界で働いている様な噂が流れていますが、実際に筆者が体験したところ、プロ意識が高く、手厚いサービスで「お客様第一」を実感でき、地上職員及び機内のクルー含めて全体的に非常に丁寧な待遇を受けました。
あまり社員から「圧の中で働いている」印象は感じさせられませんでした。
興味深かった点としては実際にカタール航空のパーサーと会話をした時、かなりエミレーツ航空のサービスについて質問をされたのでライバル意識が強いと思いました。
②エコノミークラスはどちらもハイクオリティー
座席の横幅に関しては業界水準で特に広い訳ではありませんが、長距離仕様の機材の足元は日系ほどでは無いけど比較的ゆったりとしています。
横幅に関してはエミレーツ航空であれば、ボーイング777(羽田便就航)よりもA380(成田・関西便就航)の方が広いです。
カタール航空は、ボーイング777や787よりも、A350の方が快適です。
機内食はレベル高いし、エンタメのチャンネル数は両社とも世界トップレベル(特にエミレーツ航空は桁外れ!日系航空会社よりも邦画の数が多い!!)。
③ビジネスクラスはかなりの差がついている:カタール航空圧勝
もしビジネスクラスに乗る場合でエミレーツ航空かカタール航空どちらかで迷う場合、答えは超シンプルです。
カタール航空を選びなはれ!
以前に、カタール航空のビジネスクラスが他社のファーストクラスに匹敵するという記事を掲載しました。
・カタール航空の長距離仕様機材はすべてフルフラットベッド
シートに至っては、カタール航空の長距離仕様機材の大部分が、Qスイートと呼ばれるドア付きの完全個室シート。
成田便にも導入されています。
同じカタール航空でもたまに古いボーイング777機材になると2-2-2配列のものもありますが、完全にフルフラットになるし横幅がとても広い。
対するエミレーツは、保有機材の大半以上を占める777はなんとその9割がフルフラットにならず、しかも座席配置が2-3-2で通路側でも窓側でも無い真ん中席あり!
このご時世、こんな座席は時代遅れ!
幸い、2024年9月から羽田便に一新した777が導入される事になり、やっと1−2−1配列のスタッガード式座席が姿を表します。
しかし、カタール航空のQスイートと比較するとどうしても軍杯は後者へ上がるでしょう。
そして古いタイプですが同シートアレンジのA380機。
・機内食はカタール航空の方が豪勢
機内食に至ってはエミレーツ航空でも十分に美味しくクオリティーが高いですが、カタール航空は更に上を行きます。
例えば、上記の前菜トレーはエミレーツ航空であれば一括で提供されます。
カタール航空ではすべてコースでそれぞれ分かれて提供されます。
プレゼンが完全にレストランレベル!
しかも、ビジネスクラスでは珍しく、カタール航空では好きな時間に好きなものをメニューから選べるダイン・オン・ディマンドタイプで完全に各乗客へカスタマイズされている。
・ラウンジはカタール航空の方が完全にワンランク上
ハブであるドバイ空港のエミレーツラウンジと、ドーハ空港のカタール航空ラウンジ(ビジネスクラス専用)を比較してみましょう。
エミレーツラウンジには様々なビュッフェオプションが並び、ヘルシーなデトックスジュースなどが並ぶコーナーやモエシャンドンのシャンパン各種だけを提供するコーナーなどオリジナリティーに溢れるサービスがありますが、所詮ビジネスクラスラウンジ。
無造作に椅子が置かれ、食事はビュッフェのみ。
仮眠チェアはありながらもオープンエリアなのでプライバシーは無し。
ドーハ空港のビジネスクラス専用ラウンジではビュッフェの他のビジネスクラスラウンジとしては珍しいアラカルト式のテーブルダイニングが可能で、しかも本格的!
寿司バーもある。
そして何と言っても完全個室型の仮眠室が数室用意され、ゆっくり休憩する事ができます(アルモルジャーン・ガーデンラウンジの場合)。
カタール航空のラウンジの方が一つ一つの提供内容が細かく、配慮されている印象を受けられます。
この様に豪華エアラインとして人気を集めているエミレーツ航空ですが、ビジネスクラスは意外にもそこまで凄くない?
保有機材の大半に導入されている時代遅れのビジネスクラスの真ん中座席や、そこまで洗練されていないラウンジ等、実は一般的に思われている程レベルは高くない?
しかもカタール航空があまりにも良すぎるせいで、どうしてもこの二社の違いが大きく反映されてしまいます。
まとめ
企業文化が全く異なるエミレーツ航空とカタール航空。前者は楽しいイメージがあり、質の良いエコノミークラスを提供しますがビジネスクラスになると保守的なカタール航空の方がかなり軍配が上がります。でも、筆者のエミレーツブランド好きには変化はありません!