JALとANAのどちらが良いか論争は、意見が分かれると思います。
でも、統計に基づいて確実な事は一つあります。
それは、ANAの方が全体的に新しいプロダクトを率先的に導入させる事。
そして、JALがその後を付いていく形式が歴史的に証明されています。
とりあえず筆者が重要だと思う9選を初導入された年号で比較してみましょう。
JALの方が先陣を切る例外もありますが、大抵はANAが先行をしている分野が多いです。
ANA | JAL | |
①ファーストクラス座席のフルフラット化 | 1996 | 1997 |
②エコノミークラスで個人用テレビの設置 | 1996 | 1998 |
③アライアンス加盟 | 1999 | 2007 |
④独立型ファーストクラス座席の導入 | 2002 | 2001 |
⑤ビジネスクラスで斜めフラット座席の導入 | 2002 | 2002 |
⑥プレミアムエコノミークラスの導入 | 2003 | 2007 |
⑦ビジネスクラスで全席通路アクセス可の座席を導入 | 2010 | 2013 |
⑧機内Wi-Fiの導入 | 2014 | 2012 |
⑨ファースト・ビジネスクラスでドア付き個室型座席の導入 | 2019 | 2024 |
それぞれ詳しく解説していきましょう。
①ファーストクラス座席のフルフラット化:ANAが先行
1990年代は、ANAとJAL両社ともファーストクラスと言えばボーイング747-400に搭載されていたものが主流でした。
座席配列は一階席前方の部分で2−2アブレストが4列並び、レッグレストは水平になるけど、背もたれの部分はある程度の傾斜があったので今では考えられませんがフルフラットでは無かったのです。
当時のファーストクラス座席のシートピッチはたったの60インチ(約157cm)と今のビジネスクラスで例えると近距離路線に運航させている座席レベルです(例:JALシェルフラットシート等)!
そこで1996年に日本の航空会社初の試しとして、これらの座席を完全水平として実現させたのがANAです。

今ではビジネスクラスとしてでも当たり前のフルフラットシートですが、当時としてはビッグニュース。
4列配置だった座席は1列外して3列配置へ。
筆者が10代の時に品川駅に巨大なANAの広告があり、ご年配の男女がフルフラットシートで気持ち良さそうにぐっすり寝ている写真を覚えています。
JALは、その翌年1997年11月にフルフラットシートをJALスカイスリーパーとして導入を開始しました。
フルフラットシートをするためにピッチを61インチ→83インチへ拡大。

②エコノミークラスで個人用テレビの設置:ANAが先行
シートテレビはこれまでファーストクラスやビジネスクラスの特権だったものが、遂にエコノミークラスでも設置される様になったのは日系ではANAが導入した国際線仕様のボーイング777-200機が初。
1996年の話です。
筆者が当時住んでいたインドのデリーにANAが就航した際、この777機が運航され、テレビ画面に感動してずっと釘付けになっていた思い出があります(当時珍しかったので)。
JALが追い付いたのは1998年。

③アライアンス加盟:ANAが先行
1999年にANAがスターアライアンス加盟を果たしてから、JALがワンワールドに加盟する2007年まで結構な年月がかかりました。
④独立型ファーストクラス座席の導入:JALが先行
こちらは、JALの方が先行していました。
それは2001年12月にニューヨーク線に導入された「スカイスリーパー・ソロ」。


ANAは1年遅れて翌年2002年12月にロンドン線に導入が開始されています。
JALに遅れを取ったのをかなり意識しているせいか、当時の発表でめっちゃ優秀アピールしています(笑)。


⑤ビジネスクラスで(斜め)フラット座席の導入:ほぼ同時(ANAが若干先行)
イギリスのヴァージンアトランティックが世界で一番最初に導入した、斜めにフラットになるシートは、日系二社にも2002年に採用される様になりました。
一応ANAが4ヶ月弱早く先行してはいますが、これはほぼ同時に提供が開始したと言っても良いでしょう。
ANA、JAL両社とも、とても詳しくサービス内容の進化が記載されているのでこの辺りはかなり競争が激しかった事を伺えます。
特にANA、「本邦初!!」を連発しまくり(笑)。



JALのシェルフラットシートは、現在も進化したNEOバージョンが近距離路線仕様のボーイング787-8機材で活躍していますね。
⑥プレミアムエコノミークラスの導入:ANAが先行
ANAが2003年に提供開始されたのに対し、JALは遅れて2007年の導入になりました。



⑦ビジネスクラスで全席通路アクセス可の座席を導入:ANAが先行
そろそろ、馴染みのある座席が現れ始めます。
ANAの場合は、今でも活躍するスタッガードシートが2010年2月に、JALはスカイスイートが2013年1月です。
ここでも、ANAの方がJALよりも3年早く導入させました。
ANAはブランドスローガンの「Inspiration of Japan」を掲げ、ビジネスクラスは従来のClub ANAから「ANAビジネスクラス」への変更になっています。




⑧機内Wi-Fiの導入:JALが先行
こちらは経営破綻後の再生したての頃、JALが先行したサービスです。
国際線(2012年)、国内線(2014年)両方とも、JALが先陣を切りました。
ANAは、それぞれ約1年半〜2年遅れの2014年、及び2016年に同サービスの提供を始めています。
ANAはあまり機内のインターネット接続に重点を置いていなかったのかもしれませんね。
更には、国内線のWi-Fi無料化もまたまたJALが率先して2017年に、ANAは翌年2018年に実施されています。




⑨ファースト・ビジネスクラスでドア付き個室型座席の導入
極めつきは何と言っても、国内だけでは無く、世界にも震撼させた2019年に提供が開始されたANAビジネスクラスのThe Room。
カタール航空のQスイートと並ぶ、大胆な個性ある個室型シートはANAのブランド力を最大限に発揮できているでしょう。

JALは2024年になってやっとようやく新型機種のA350-1000にドア付きのビジネスクラス及びファーストクラスを導入しました。

まとめ
例外は多少ありますが、基本的にANAは昔から「本邦初」を徹底させている様に感じます。JALはのんびり屋さん?で、その様な革新的なANAの姿勢が、一度JALの経営破綻を招いてしまった部分も否定はできないでしょう。やはり競争では常に改善や変化は必須であり、これからもANAが先行し続けるのか楽しみです。
もし他に、JALが先行した外せられない部門があれば、コメント欄に教えて下さい!